何ちゃってニュース

女性の目線で話題のニュースを取り上げてみました。NHK 日テレさんは安倍総理の茶坊主みたいね。

退職届と退職願、どちらを出すのが正解?法的に知っておきたい悔いのない会社の辞め方

会社員ならば、1度は会社を辞めたいと思うときがあると思います。

私も大学を卒業しあまり考えずにある企業に就職しましたが、社風に合わずすぐにやめた経験があります。当時は、法律のことなど全く知らなかったので、口頭でやめると宣言し、そのままやめてしまいました。

しかし、再就職が難しいのは今も昔も同じです。よく考えてやめるべきですし、退職の際の法的なことも知っておくと良いと思います。

よくよく考えて、いよいよやめると決心したときは、まずは上司にその旨相談してください。そして、出来るならば、会社都合退職にしてもらってください。自己都合退職だと、失業保険の割合が減りますから。詳しくは、色々なさサイトで紹介されているのでそちらを参照して下さい。

それでは具体的な書き方や退職届と退職願の違いについて解説していきます。

■退職届と退職願の違い

会社との話し合いがうまくいかないときは、書面を書いて退社の意思をはっきりさせるべきです。その際に書く書面はいわゆる辞表ですが、法的には、退職届と退職願の2種類があると言われています。

退職届は、退職の意思が確定的な場合であり、その後、その意思を撤回できないと言われています。退職願は、そこまでの強い意思ではなく、会社が退職を認めるまでは撤回できると言われています。

ただ、それほど大きな差はないと思います。退職願と言う書面でも、それを書くには多大な決心が必要だったはずであり、後に撤回することなどほとんどないからです。逆に退職届を出しても会社に強く慰留され、退職を撤回することもたまにあります。

■退職届は同じ書面で2通作っておくと良い

退職届あるいは退職願の書き方に定型はありませんが、表題(退職届あるいは退職願)、退職の意思の表明、日付、署名、印鑑が必要です。ネットを見ると書式がありますから参考にしたら良いと思います。

注意点は、同じ書面を2通作り、1通を会社のしかるべき人に渡し、渡した際にもう1通に受領印あるいはサインをもらうことです。そうしておかないと握りつぶされるおそれがあります。

退職届あるいは退職願を出して退職した場合でも、事案によっては、会社都合退職として扱われることもあります。サービス残業をやらされたとか、パワハラに遭いやめざるを得なかったような場合です。会社が会社都合退職を認めない場合でも、労基署や職安が会社都合退職を認めることも結構あります。

人生の3分の1の時間は職場にいます。あわない職場で無理する必要はありませんが、軽率に退職し、条件の良い再就職が見つからないこともあります。人生の分岐点になる決断です。よく考えて行動して下さい。

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)
     
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深刻化するブラックバイト問題。非正規雇用者がパワハラにあったとき、誰に助けを求めるべき?

最近は、学生が低賃金で過酷な労働や責任を強いられるブラックバイトの問題も頻繁にニュースで報道されるようになってきました。社員並みの業務を強いられることで、学校の試験を受けられずに単位を落としてしまうといった事例も数多く報告されています。中には卒業できずに学校を辞める、といったケースも見受けられます。

厚生労働省が2015年11月に発表した「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査結果」によると、調査対象となった学生のうち、経験したアルバイト数のうち48.2%(人数ベースでは60.5%)で、労働条件等における何らかのトラブルがあったと回答したことが報告されています。また、主婦や高齢者などのパートタイマーにもパワハラの被害報告が増えつつあります。

そこで、アルバイトやパートタイマーがパワハラ被害にあった場合、誰に助けをもとめるべきなのか、労働トラブルに詳しい和田金法律事務所の渡邊寛弁護士に伺いました。

■一人で問題を抱え込まない

アルバイトやパートタイマーなどの非正規雇用者の場合、パワハラやセクハラの被害にあったら、すぐにその会社を辞めてしまうのも一つの選択肢です。特に、学生バイトの場合は、学業が本業ですので、ブラック企業のパワハラ体質を改善させることに時間や労力を注ぐよりも、自分の労働条件・労働環境がブラックかどうか的確に判断して行動できるかどうかの方が重要です。

しかし、様々な事情から、仕事を続けなければいけない、辞めさせてもらえないといったケースもあるでしょう。そうした状態になっても、泣き寝入りする必要はありません。

「非正規雇用であっても、有給休暇や時間外労働・深夜労働等の割増賃金が発生します。経営者としては、労働基準法等の労働者保護は非正規雇用にも及ぶことを認識する必要があります。

また、非正規雇用であっても不合理な差別は許されません。最近も、定年後再雇用されたトラック運転手が、業務内容が全く変わらないのに賃金を減額された事例について、これを違法とする判決がありました。もちろん、アルバイトやパートタイマーなどの非正規雇用者であっても、パワハラやセクハラは許されません。」(渡邊弁護士)

■一番のハラスメント対策は誰かに相談すること

それでは実際に被害にあった場合は、どのように対処すべきなのでしょうか。

「特に若年であったり就労の経験が少なかったりすると、ハラスメントを受けたり、賃金の不払い、高額な罰金、シフトの強要や退職の拒否など、非常識な労働条件・労働環境でも、強要されたり丸め込まれたりしてしまうことがあります。逆に、法的な面だけに固執し、現実的な解決が困難なところまで考えすぎてしまうこともあります。

一人で抱え込まずに、誰かに(専門家に相談しにくければ家族や同僚でも)相談した方がバランスの取れた判断ができやすいように思います。」(渡邊弁護士)

パワハラ被害に限らず、ハラスメントに関する相談窓口を設ける企業や団体は増えています。また、少子高齢化で若い労働力というのは貴重になっていますから、パワハラやブラックバイト問題が報道された企業は、計り知れないイメージダウンを負うことになります。こうした先例から、従業員に対するコンプライアンスの強化を図る企業も増えてきており、社会全体の意識も変わってきています。パワハラ被害にあった場合、アルバイトやパートタイマーであっても弁護士をはじめとした法律の専門家に相談することが、解決の糸口につながるでしょう。

*取材協力弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱
     
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実はあなたの給料は不当かも!正社員の最低賃金

パート・アルバイトの方には『最低賃金』という言葉は馴染みのあるものでしょう。最低賃金は各都道府県の条例によって異なりますが、どこでも必ず定められています。たとえば、東京都の最低賃金は、現在、958円です。これを割っていれば、違法行為になります。また、賃金分がたまっていれば、不当利得返還請求権を行使できることになります。

最低賃金といえば、パート・アルバイト時給のイメージがありますが、実際には正社員にも当てはまります。正社員の場合には、手当てや残業代を含めない基本給で計算することになりますね。2018年時点での東京都の最低賃金は958円です。今回は東京都の場合で見ていきましょう。

■月給制の場合

【時給=月給÷年間平均所定労働時間】
基本給120,000円
年間所定労働日数は250日
1日の所定労働時間は8時間
役職手当て10,000円

とすると、

計)月給130,000円

この時、通勤手当と時間外手当は除外しますが、職務手当は除外されませんので、

(130,000円×12ヶ月)÷(250日×8時間)=780円(時給)

となるので、最低賃金に達しておらず、不当な賃金と言えます。

参考:最低賃金額以上かどうかを確認する方法

■日給の場合

【時給=日給÷1日の所定労働時間】

日給10,000円 所定労働時間8時間

の場合、

10,000円÷8時間=1,250円(時給)

となるので、最低賃金を上回っており、問題はありません。

■さいごに

いかがでしたか。

歩合制の職業の方は、基本給が低く設定されていることが多い風習があることも。もし、自身の給料に疑問があれば、一度計算してみてください。最低賃金を下回っている場合は会社に相談したり、労基署に相談するなどと、対策を取りましょう。取り合ってもらえない場合は弁護士に相談すれば、親身に話を聞いてくれますし、解決への糸口を見つけてくれるはずです。

*弁護士監修/ 虎ノ門法律経済事務所 池袋支店 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。ラインでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
     
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■知らなきゃ損!節税しながら老後のために貯金ができる「確定拠出年金」

節約やお得な裏ワザが大好きなマネーライター・大上ミカさんが、「確定拠出年金」についてリサーチしました。

 * * *
 さてさて、今回取り上げるのは「確定拠出年金」。実はコレ、老後のお金を超お得に貯められる必殺技なんです。なぜお得かというと、貯蓄しながら税金のキャッシュバックが受けられるから。

 これまでも、“税金のキャッシュバック=節税”で得する裏ワザは紹介してきたけど(個人年金保険、医療費控除)、確定拠出年金は、これらのはるか上を行く、“節税テクのキング”なんです。

 でもちょっと待って! そもそも“節税”って何?という人のために、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんに、その仕組みを聞いてきました。

「会社員やパートの人は、給与から所得税と住民税が天引きされています。この金額は、“課税所得”を基に計算されていますが、実は課税所得は申告で減らせます。課税所得が減れば、その部分にかかっていた税金分が返金されます。つまり節税(所得控除)とは、課税所得を減らすテクと覚えてください」(高山さん)

 課税所得とは、年収から基礎控除や給与所得控除など、さまざまな控除を引いて残るお金のこと。例えば、年収127万円のパート主婦の場合、給与所得控除と基礎控除の103万円を引いた、24万円が課税所得ってわけ。

「このパート主婦の場合、節税をしなければ、24万円にかかる所得税と住民税の合計3万6000円が天引きされます。ですが、申告して節税すれば、この3万6000円が返金されます。払いすぎた税金を返してもらうのは納税者の権利。年末調整や確定申告はそのためにあるので、サラリーマンやパートだから無関係と思わず活用しましょう」(高山さん)

 課税所得を減らす“控除”には、医療費控除や生命保険料控除などいろいろあるけれど、もっとも“返金威力”を発揮するのが「確定拠出年金」なんです。

「確定拠出年金」とは、老後の資金作りのためにと、国が用意した個人年金制度のこと。60才までに納めた掛け金を運用し、老後に受けとる仕組み──ってコレ、投資じゃない! 本当に「安全で確実にお得」なの? その辺のメリット・デメリットを、マネーコンサルタントの頼藤太希さんに聞いてみました。

「確かに掛け金を運用するので、お金が増えるかは自己責任。また、60才まで下ろせないデメリットも。ただ、それを上回るメリットがあるんです。それが、掛け金の全額所得控除。例えば、月2万円の掛け金なら、毎年24万円の所得控除に。個人年金保険の所得控除は最大4万円など上限があるのと比べると、相当有利です」

 24万円が一気に所得控除になるなら、前述の年収127万円のパート主婦は、3万6000円の税金が丸々戻ってくるわけね。さらに、メリットはそれだけじゃないと推すのは、ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。

「運用中に得た利益は非課税。将来受け取る時も“退職金所得控除”や“公的年金等控除”などの税制優遇が受けられます」

 なるほどね、天秤にかけたらメリットの方が大きいのか。「ただし、注意してほしいのは、パート主婦の掛け金は月額2万3000円までで、加入は来年1月からという点です」(長尾さん)

 ってことは、今から準備はしておかなきゃね。
     
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スカウトやキャッチ・・・路上での「声掛け」はどこまで法律で許されている?

繁華街を歩いていると、飲食店や性風俗店の客引き、モデルのスカウト、絵画や宝飾品の販売、宗教の勧誘など、いろいろな声掛けに会うことが多々あります。

場合によっては半ば強引に勧誘させられることもあるのですが、このような声掛け行為は法律上違法ではないのでしょうか。

まず、飲食店の客引きについては風営法に規定があり、キャバクラやホストクラブ、当然性風俗店の客引きもすべて違法です。

深夜の繁華街で「写真だけでも見てって」「かわいい子いますよ」という声掛けをされることがよくありますが、これらはすべて違法ということになります。

高額請求をされるケースも多々ありますので、本当に遊びに行こうとしているのであればともかく、そうでない場合はとにかく無視してさっさと立ち去りましょう。

●モデルのスカウトや美しい女性からの声かけは注意が必要?

モデルのスカウトに関しては特に規定はありませんが、キャバクラ嬢などの接客業のスカウトなどは、東京都の場合は迷惑防止条例で禁止されています。「モデルになりませんか」などと巧みに女性に声をかけ、実際はAVに出演させたりするようなトラブルもよくありますので、この手のスカウトは要注意です。

美しい女性などが「少しお話してもいいですか」などと声をかけ、「絵を見ていきませんか」「彼女に宝石をプレゼントしてみてはいかがですか」などと巧みに勧誘し、絵画や宝飾品その他の高額な物品の販売をするというケースも多々あります。

声掛け自体は違法ではないのですが、当然無理やり高額な商品を買わせる手口は当然違法です。仮に契約してしまっても、クーリングオフの適用がありますので、申し込んだ日から8日以内に書面で解約する旨を伝えましょう。

●宗教とは名乗らずに声をかけてくるケースも

宗教の勧誘もよくあります。最初はヨガ教室として勧誘し、結局は宗教に加入させたという手口で有名なのがかつてのオウム真理教ですが、似たような手口で勧誘する例は後を絶ちません。

宗教については憲法上信教の自由が保障されていますので、勧誘行為自体は違法ではありません。それゆえ、法律での規則が難しい分野なのですが、万一うっかり加入申し込みをしてしまった場合には、そのままにしておかず加入取り消し、脱会の意思を書面でしっかりと伝えることです。

以上のように、街中の声掛けというのはすべてとは言いませんが、疑わしいものが多数あるようです。これらの声掛けから身を守る方法はただ一つ、「無視してさっさと立ち去る」に限ります。皆さんも十分に注意してください。

*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)
     
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アダルトサイトの料金請求メール…もしも誤って電話してしまったら?

身に覚えのないアダルトサイトからの料金請求メールが届いたらどうしますか?『○○日以内に支払いがない場合には、訴訟を起こす』なんて書いてあれば、不安になって電話してしまうかもしれません。しかし、実はその対応は逆効果です。毎年、アダルト情報サイトに関する相談が、国民生活センターには数多く寄せられています。ここでは、実際にメールが送られてきたときの正しい対処法をご紹介します。

この記事は、法律事務所アルシエンの清水 陽平先生に監修いただきました。

一方的に送られてきた請求メールは詐欺の可能性大

身に覚えがなく一方的に送られてくるアダルトサイトの料金請求メールは、悪質な業者が不特定多数に送信している迷惑メールである可能性が高いです。いわゆる『架空請求』と言われる詐欺の一種だと思ってください。仮に身に覚えがあったとしても、無視するに越したことはありません。メールに返信してしまうと、悪質な業者が『カモ』と判断してあなたのメールアドレスをリストに登録し、他の迷惑メールが、多数送られてきてしまう可能性があるからです。

基本的には、電話はもちろん、メールの開封も避けたほうがよいでしょう。メールに添付されているファイルに、ウイルスが仕組まれていることもあるからです。本文内に記載されたURLをクリックするのもやめておきましょう。クリック先のリンクであたかも契約が正式に完了したような画面が表示されるからです。もちろん、そのような契約が有効になることはないのですが、突然のことに正常な判断ができなくなることがあります。

表示画面に携帯電話の個体識別番号や、パソコンの固有識別番号、IPアドレスで『個人を特定しました』と書いてあることがありますが、それらの情報だけからは個人を特定できないので安心してください。また、URLをクリックすることでウイルスに感染させるサイトもあるので気を付けましょう。

誤って電話してしまった!そんなときの対処法

メールに記載されていた電話番号に連絡してしまうと、業者からのしつこい請求が来るかもしれません。もし、実際に連絡してしまった場合には、以下の対処法を参考に行動するとよいでしょう。

・着信拒否する

電話番号しか知られていなければ、業者側も電話しかできません。身に覚えがない請求は無視してしまって大丈夫です。

・電話番号を変更する

業者によっては違う電話番号からかけてくることもあります。その場合には面倒ではありますが、電話番号を変えてしまうのがよいでしょう。

・国民生活センター・警察に相談する

電話した際に個人を特定できそうな情報を話してしまい、急に家や職場などに押しかけられるのではないかと不安な場合には、警察や国民生活センターに相談してみましょう。国民生活センターでは、アダルト情報サイトに関する相談が多数寄せられていますので、的確なアドバイスがもらえるはずです。

・弁護士に相談する

極めてまれなケースですが、過去に出会い系サイトの業者が、架空請求でサイト利用者に訴訟を起こしたことがあります。裁判所は訴状の形式に問題がなければ受理してしまいますので、訴える内容が正当なのかどうかまでは事前に判断をしないのです。裁判所からの呼び出しを無視して答弁書を出さず、審理にも出なかった場合、原告の請求が認められ、裁判に負けることになってしまいます。

また、訴訟で求める支払いの請求額が60万円以下の場合、少額訴訟手続による審理になると思いますが、少額訴訟手続は1回の審理で終了してしまうので、適切な反論をすることが必要になります。訴訟が起こされると、『特別送達』と書かれた封筒が裁判所から届くので、必ず確認して失くさないようにし、どう対応していくかは弁護士に相談するとよいでしょう。

基本的にアダルトサイトからの料金請求メールは無視してかまいません。しかし、メールに記載された番号に電話してしまって、問題が起きた場合には、公的機関や弁護士に相談してみるとよいでしょう。

*記事監修弁護士:法律事務所アルシエン 清水 陽平先生(Twitter、Facebookに対する発信者情報開示請求仮処分について、それぞれ日本第1号事案を担当するなど、インターネット上の誹謗中傷に対する事案解決に注力しています。)
     
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「飲むだけで誰でも10kg痩せる」どんな表示が法規制に触れる?

夏ですね! 毎日暑いです。暑いと厚着なんかしてられません。当然露出も多くなります。この時期、「痩せたい」「少しでも細く見せたい」、そう考える人も多いと思います。

今年も8月に入り、そろそろ夏も後半戦ですので、あと少し我慢して夏を乗り切り「来年の夏こそは!」と考えるのもひとつですが、「この夏のうちに結果を出したい!」と思う場合につい惹かれてしまうのが、ダイエットサプリやダイエット食品ではないでしょうか。

今回はダイエットサプリやダイエット商品の広告における法的問題点を解説したいと思います。

■健康食品などの広告には法規制がある

「飲むだけで、理想のスタイルに!」「気づけば1週間で−5kg!」「置き換えるだけでラクラクダイエット!」などなど、魅力的な文字が商品の宣伝サイト上に踊っています。

「これさえあれば、すぐに理想のボディになれる?」などと思ってしまいますが、もしそうであれば誰も苦労していないのではないでしょうか。

飲むだけで理想のスタイルになれるのは魔法の国のお話ですし、標準体重の人が1週間で5kgも痩せたら病気を疑うべきです。人が健康的に痩せるには、適切な食事制限と運動、そしてある程度の期間が不可欠です。

しかしながら、そんなことは分かっていても、速攻ラクに痩せたいと、魔法のようなダイエット食品に頼りたくなる気持ちも分かります。

そんな心の弱い私たちが、甘い売り文句に惑わされて、不適切な買い物をしてしまわないように、ダイエット食品のようないわゆる健康食品の広告は、法律で規制されています。

■景品表示法では広告全般を規制している

まず、広告一般を規制する法律として、不当景品類及び不当表示法(景品表示法)があります。

この法律では、一般の消費者に対して商品の品質等の内容が実際よりも著しく優良であると誤解させる表示や、取引条件が実際よりも取引の相手方に著しく有利であると誤認させる表示など、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある広告が禁止されています。

■食品の広告については健康増進法で規制されている

食品の販売に関する広告については、健康増進法が、健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違する表示と著しく人を誤認させるような表示を禁止しています。

例えば「飲むだけで誰でも必ず10kg痩せます!」といった表示は、事実と相違することが明らかですし、痩せたくて切羽詰まっている消費者の合理的な選択を阻害するおそれがありますから、これらの法律に違反していることになります。

このように、それさえ摂取すれば簡単にラクして痩せられるかのような広告は法律で規制されているのですが、それでも実際には魅力的すぎる売り文句が溢れています。

どうしても誘惑に駆られて商品に手が伸びてしまいますが、ダイエットには適切な食事制限と運動が欠かせないということを忘れずに、ダイエット食品はあくまで栄養補給のためのものであると理解した上で、上手に利用したいですね。

*著者:弁護士 伊東有理子(丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。国税審判官としての勤務経験あり。離婚から企業法務まで幅広く精通し、依頼者に最良の結果をお届けできるよう日々努める。)
     
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新幹線で小学生未満の子供の切符代金を支払ってしまった…代金の返金は可能?

前回、新幹線の自由席で4歳未満の子供を1席座らせることについて、混雑時は親の膝に乗せて座ることがマナーですが、空いているときは問題ないという事例を紹介しました。知らない方もいたのではないでしょうか。

また自由席の場合、子供が無料になることを知らなかったという人もいるようです。仮にそのような人が子供の乗車券を購入してしまった場合はどうなるのでしょう?当然代金を返してもらうのが筋だと思われますが、「間違えたほうが悪い」といわれ、自己責任として返してもらえないケースもあるようです。返金してもらえるのかもらえないのか。弁護士法人サリュ銀座事務所の竹内省吾弁護士に見解を伺いました。

Q.新幹線の自由席で小学生未満の子供の切符代金を支払ってしまった場合代金の返金は可能?
A.料金がかからないということを知らなかったのなら、可能なこともあるでしょう。

「返金は可能であると思われます。小学生未満の子供だけでない限り、小学生未満の子供の乗車料金はかかりません。本来、大人が小学生未満と乗る場合には、その子供の運賃の支払債務を負いませんので、その分については、不当利得として返還を要求できるのではないでしょうか。

ただし、料金がかからないことを知っていたような場合には、その返還を請求することはできません。また指定席の場合には、一人分として座席を取る以上、小学生未満でも料金がかかるので、乗車後の返金は請求できません。

間違いであることがはっきりしている場合は、返金を要求できるようです」(竹内弁護士)

*取材協力弁護士:竹内 省吾(弁護士法人サリュ 銀座事務所。 交通事故分野のパイオニア。民事刑事問わず無料相談 メール受付対応。おもな著作に「交通事故裁判和解例集」(第一法規)などがある。)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
     
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相続した土地が他人の物に!?知らないと損する所有権の取得時効という制度を知ってますか?

相続した土地が他人の物に!?知らないと損する所有権の取得時効という制度を知ってますか?

長年使わず、眠ってしまっているような土地はありませんか?

「手入れも面倒だし、いつか使う時までそのままにしておこう。きちんと登記もしているから誰かに取られることもないだろう。」と、安心しきっていませんか?

相続や贈与など、正当な原因に基づき権利を得て、かつ、きちんと登記までしていたとしても、所有権が他人の手に渡ってしまうことがあります。

なぜなら、民法には取得時効と呼ばれる制度が存在しているからです。

大切な財産の所有権を失ってしまうことのないよう、取得時効という制度についてAさんの事例をもとに確認していきましょう。
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土地を相続し、すぐさま所有権の移転登記をしたAさん

21年前の6月、父から土地を相続したAさんは、その土地についてすぐさま相続を原因とする所有権の移転登記をしました。

Aさんは所有権の移転登記をしたことで安心し、そのまま土地について様子を見ることなく現在にまで至っています。

ところが、21年前の7月からその土地について所有の意志をもち、自己の土地として使用を続けているBさんが存在していました。

先日、たまたま土地の様子を確認したAさんは驚き、Bさんにこう告げました。

「この土地は21年前の6月に私が父から相続した土地です。その証拠として、私名義の登記がされています。今すぐにここから立ち退いてください。」

それに対し、Bさんは次のように反論しました。

「この土地は私が21年前の7月より所有の意志をもち、平穏かつ公然と使用を続けている土地です。使用から既に20年が経過しており、私は時効によりこの土地の所有権を取得しています。」

確かに、Aさんは20年以上の長期に亘って土地を放置しており、その間Bさんは土地の使用を継続していました。

とはいえ、土地の登記名義はAさんとなっています。

一見すると、どちらの言い分にも正当性があるように感じます。

さて、一体どちらの言い分が正当と認められるのでしょうか。

まずは所有権の取得時効について確認しましょう

民法においては「永続した事実状態の尊重」や「立証の困難からの救済」などを理由として、所有権を時効によって取得することのできる、取得時効という制度が定められています。

取得時効によって所有権を取得するには次のような条件を満たすことが必要とされています。

(1)20年間所有の意志をもち(占有物が他人の物であることを知らず、かつ、それについて過失のない場合は期間が10年に短縮されます。)

(2)平穏に、かつ公然と
(3)他人の物を占有すること

さて、これらの要件を今回の事例に当てはめて考えていきましょう。
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【結論】Bさんは時効によって土地の所有権を取得し、Aさんは所有権を失っています。

まず、Bさんは所有の意志をもち、自己の土地として使用を20年間続けていたことから(1)の要件を満たしているといえます。

続いて、ここにいう平穏かつ公然とは「脅迫や暴行を用いていないこと」そして「隠したり秘密にしていないこと」をいいます。

暴行や脅迫を用いず、隠すことなく堂々と土地を使用していることから、Bさんは(2)の要件についても満たしているといえます。

最後に、Bさんは、他人であるAさんの土地の占有を継続しており、(3)の要件も満たしています。

つまり、Bさんは全ての要件を満たしており、土地の所有権を取得時効によって取得しているのです。

Bさんが取得時効によって所有権を取得している以上、AさんはBさんに対し、土地の所有権を主張し、立ち退きの要求をすることができないのです。
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対抗要件を備えているからと油断は禁物です

今回のAさんのように、登記などの対抗要件(第三者に自己の権利が正当だと主張するための要件)を備えていたとしても、取得時効により所有権を失ってしまうことがあります。

大切な土地の所有権が他人の手に渡ってしまわないよう、遠隔地にあっても現状を適宜確認し、きちんと管理しておくようにしましょう。

Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー
     
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金持ち優遇、時代とズレている相続税が広げる格差

 相続は多くの場合、「財産を引き継ぐ側の人」の努力や能力とは別の次元で発生します。われわれは裕福な家・貧しい家を選んで生まれてくることはできませんが、本人の努力にあまり関係なく、「金持ちの家に生まれた子はずっと裕福で、貧しい家に生まれた子はずっと貧しいまま」になっては、世代をまたいで格差が固定化してしまいます。

「相続税」には、こうした格差を緩和するために「富の再分配」を行い、「格差の固定化を防ぐ」という役割がありますが、『税金格差』の著者であるジャーナリストの梶原一義氏は、「相続税は、所得税などよりも富裕層への優遇が露骨だ」と話します。いまの相続税のどこが不公平なのか、梶原氏が解説します。
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「25人に1件だけ払う」状態は改善されたが

 相続税は、親などからの相続で得た財産にかかる資産課税として、所得の再分配の機能を担っている。しかし、これまでさまざまな軽減措置など富裕層に有利な税制が積み上げられてきたため、税としての空洞化が著しく、所得再分配機能を失いつつある。たとえば、年間の死亡者数と相続税の課税対象となった被相続人数の割合、すなわち相続税の課税件数割合(年間課税件数/年間死亡者数)は、近年は4%台で推移してきた。単純計算だと、亡くなった人が25人いてわずか1件だけ相続税が発生していたということになる。

 この状況を改善するために、2015年から相続税増税が行われ、相続税が課される財産金額のボーダーラインとなる「基礎控除」が引き上げられた。基礎控除は、それまで「5000万円+法定相続人数×1000万円」で、法定相続人が奥さんと子ども2人の計3人の場合、8000万円だった。つまり遺産総額が8000万円以下だと相続税がかからないということで、課税件数割合が低かった。それが15年から基礎控除は3000万円+法定相続人数×600万円となり、法定相続人が3人の場合は4800万円と6割に減少。そのため相続税を課されるケースが増え、15年の課税件数割合は8.0%に上昇している。

 しかし、富裕層は貸家建設やタワーマンション節税、相続税節税のための養子縁組など相続税対策にも熱心なため、この先の課税件数割合の動向は不透明だ。

相続税「空洞化」の4つの原因

 相続税空洞化の原因は次の4つに大別される。

1.地価高騰が著しかったバブル期に相次いで引き上げられた基礎控除が富裕層の既得権のようになり、バブル崩壊(地価急落)後も据え置かれてきたこと

2.税率全般の引き下げが続いてきたこと

3.配偶者控除がほぼ無制限になったこと

4.相続税評価額が最大80%減額される「小規模宅地等の課税の特例」が拡充され、富裕層などの既得権になっていることこれら手厚い軽減措置の数々を見ていく前に、相続税の計算の仕組みを理解しておこう。現行の相続税は、基礎控除などを差し引いた課税遺産の総額を、法定相続人が法定相続分通りに取得したものとして計算した各人の相続税を合計し、まず「相続税の総額」を求める。それを各相続人の実際の相続割合に応じて按分するという仕組みになっている。つまり基礎控除は、課税遺産総額を決める上でとても重要なファクターだということだ。
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地価大幅下落でも基礎控除は高止まり

 相続税空洞化の原因の「1」はこの基礎控除である。94年に「5000万円+法定相続人数×1000万円」まで引き上げられた基礎控除は、バブル崩壊後も据え置かれ、下落著しい地価と大きく乖離していた。バブル期、地価高騰による相続税負担の増大に対応し、87年以前に「2000万円+法定相続人数×400万円」だった基礎控除は段階的に引き上げられてきた。たとえば法定相続人数が3人の場合、87年以前は3200万円、88年以降6400万円、92年以降7650万円、94年以降8000万円と、基礎控除額は7年で実に2.5倍にもなっている。

 相続税空洞化の原因の「2」は「税率全般の引き下げが続いてきたこと」である。図表1(別画像)のように、相続税は88年以降の5回の税制改正で税率構造が圧縮され、税額が軽減されてきた。相続税の税率とは、各法定相続人の法定相続分相当額に課せられる税率である。たとえば法定相続分相当額が1億円の場合の相続税額は、87年以前は3975万円だったが、88年3480万円、92年2745万円、94年2480万円、03年以降は2300万円と税額が42%も減っている。

拡充され続けてきた配偶者控除

 相続税空洞化の原因の「3」は「被相続人の配偶者に適用される配偶者控除がほぼ無制限になったこと」だ。被相続人の配偶者は、取得した遺産額が法定相続分以内であれば、額にかかわらず相続税がかからないようになっているのである。相続における法定相続分は、たとえば相続人が配偶者と被相続人の子どもの場合、配偶者が2分の1、子どもが2分の1などとなっている。

 配偶者控除は、87年以前は「遺産の2分の1または4000万円のいずれか大きい金額に対応する税額まで控除」だった。これが88年以降は「配偶者の法定相続分または8000万円のいずれか大きい金額に対応する税額まで控除」となった。さらに94年以降は「配偶者の法定相続分または1億6000万円のいずれか大きい金額に対応する税額まで控除」となっている。
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富裕層や経営者一族の既得権に

 相続税空洞化の原因「4」は、「相続税評価額が最大80%減額される『小規模宅地等の課税の特例』がバブル崩壊後に拡充され、富裕層や経営者一族の既得権になっていること」である。この特例は、被相続人とともに生活していた家族などが、被相続人の死亡後も生活や事業を最低限維持していくために不可欠な宅地および事業用地の一定限度について、相続税の大幅な減額を認める制度である。

 たとえば相続人が子ども1人で相続税評価額1億8000万円(面積300m2
)の宅地を相続し、同特例を適用すると、評価額が8割減で課税遺産額は3600万円。基礎控除は3600万円(3000万円+600万円×法定相続人数1人)だから、相続税額は0円となる。これが現金で1億8000万円だったら、8割減額がないため、4060万円の相続税がかかる。
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現状から大きくズレた特例

 この特例は図表2(別画像)のように、バブル崩壊後に減額割合と適用対象面積が大きく拡充されてきた。地価は1991年をピークに下落し、土地取引が止まった。そのため都市部の住民や商工業者は相続で得た土地を売却して相続税の納付に充てることが難しくなり、相続税の物納や延納(分割払い)が急増した。国税庁によると、物納申請件数は、バブル崩壊前は年間400〜500件だったが、崩壊後は毎年5000件を超えた。延納も89年に2万4179件だったのが91年は4万7360件と倍増した。

 そのため日本商工会議所など中小企業団体が「相続税の負担軽減」を強く求め、国が救済措置として小規模宅地等の課税の特例を矢継ぎ早に拡充してきたという経緯である。前記の基礎控除が高水準のまま据え置かれてきたのも、同様の救済措置であろう。  しかし、小規模宅地等の課税の特例は、「地価急落時に緊急避難的に拡充されてきたもの」であり、地価が落ち着いている現在、高水準の減額割合などを継続する根拠はないのである。

不動産需要をあおり、社会階層の固定化も

 このように、宅地は相続で有利だから、大都市圏での需要が喚起され、「土地神話」が強まる。また、親が大都市圏に住んでいる者に有利ということで、社会階層の固定化にもつながってしまう。以上見てきたように、相続税は「持てる者」に有利な税制が積み重なって空洞化が著しい。「持たざる者」への所得再分配機能を強化するためのより大胆な見直しが急務である。

■ 梶原一義(かじはら・かずよし)
1953年生まれ、北九州市若松区出身。早稲田大学商学部を卒業後、ダイヤモンド社に入社。「週刊ダイヤモンド」記者としてマクロ経済や中小企業、総合商社、化学・医薬品業界などを担当。以後、各種経営情報誌や単行本などの編集に従事。
     
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医療労働者「連続勤務」「サビ残」常態化、弁護士「徹夜で手術後、過労事故死も」

医師や看護婦など、医療労働者の「連続勤務」や「サービス残業」といった労働環境の過酷さが指摘されている。日本医労連が2015年に実施した調査でも、6割近くの医療労働者が患者の情報収集などで、始業前に1時間以内の仕事をしていることがわかった。また終業後も、約7割が残業していた。

調査は2015年10〜12月にかけ、日本医労連に加盟している労働組合の組合員ら約1万2500人を対象に実施。回答者の半数が看護職で、リハビリなどの医療技術職が約30%、医師は3.9%だった。

調査では、始業前に仕事をしていると答えた人のうち、7割以上が「時間外労働として請求していない」と回答していた。請求しない理由については、25.3%が「請求できない雰囲気がある」、10%が「請求できると思わなかった」としている。日本医労連の試算によると、医療労働者の未払い残業代は、平均で月6万6000円以上になるという。

医療労働者の残業時間は、他の業種と比べて長くはない。ただ、医療労働者は不規則な交代勤務をしている場合があり、日勤からそのまま夜勤に入るなどのケースでは、残業をするとほとんど休憩をとれないこともある。患者の命や健康を預かる医療労働者の働く環境について、弁護士はどうみるのか。医師や看護師の過労死事件を担当した経験がある、波多野進弁護士に聞いた。

●医療労働者のサービス残業常態化は「常識」

「医師や看護師などの医療労働者がサービス残業が常態化していることは、医療労働者の間では常識になっていると思います。調査では、始業前に仕事をしていると答えた人のうち7割以上が『時間外労働として請求していない』と回答したとのことです。私が担当した国立循環器病センター事件(大阪高裁平成20年10月30日判決)では、『引き継ぎを受ける前に担当患者の状態を実際の目で見て確認する』、『カルテや看護記録を検討する』などの情報収集業務を、すべての看護師が定時の勤務開始時刻の30分以上前から開始していて、これは裁判例でも明確に認定されています。

この情報収集業務はまさしく看護師としての業務そのもので、早出残業です。ところが、看護師たちは残業代の申請を行っていませんでした。理由としては、先輩も同僚も残業の申請をしない、ましてや新人や若手の看護師は到底残業の申請はできない、予算が足りないなどの複合的な理由が重なっていると考えられます」

●「研究」と称して行われる「隠れたサービス残業」

「また『隠れたサービス残業』の問題についても指摘したいと思います。これは、医師や看護師が『研究』や『委員会』という名のもとにおこなう業務です。『研究』などと称して、実際は業務手順やマニュアルの作成などを、就業時間外や自宅へ持ち帰って行っているという実態があるようです。しかし、それは『自己研鑽』という美名のもとに行うことになっているため、残業として申請されることはまずありません。

また、医師の当直勤務の場合、呼び出しがあれば即時に対応しなければならないため、結果として仮眠がとれたとしても、当直時間帯は全て労働時間と評価されると考えます。しかし実際は、当直手当は支払われるとしても、当直時間に見合った残業代が支払われているケースは少ないようで、当直時間帯はすべてサービス残業になっていると言えるでしょう。

看護師にしても医師にしても、休憩中であってもPHSを常に携帯したり、詰め所に待機して、PHSやナースコールに即時に対応する状況にある場合は、休憩ではなく労働時間と考えられるでしょう。そのように考えると、多くの病院では休憩時間がなく、この点でもサービス残業となっています」

●「日勤からそのまま当直」...過酷な連続勤務で心身に負担

「医療労働者の方々は、時間外労働が長いだけでなく、命や健康という代えがたいものと向き合う仕事であるため、即時対応を求められます。時間を問わず対応しなければなりません。看護師の場合には3交替の不規則勤務(日勤、深夜、準夜)であったり、医師の場合には当直勤務や緊急の呼び出しなどがあり、心身に負担のかかる勤務といえるでしょう。

医師の当直の場合、日勤からそのまま当直(徹夜)勤務を行い、更に当直明けも日勤を行うという過酷な連続勤務も珍しくありません。看護師の場合も、日勤を終えた後、そのまま深夜勤務に入るなどの連続勤務がよく行われています。このような連続勤務があると、睡眠がほとんど取れないまま長時間働くことになり、心身に大きな負担がかかります。

医療労働者の労働組合が、『労働時間の上限規制』と『連続勤務の規制』を求めているのはこのような観点から当然の要求だと考えます。これは医療労働者の心身の健康を守るためだけでなく、患者(国民)の安全を守るためにも必要不可欠な規制と考えられます。例えば、外科医が連続勤務などで満足に睡眠を確保できないまま、手術をすることを余儀なくされるという危険な状況があります。

私が担当した鳥取大学付属病院事件(鳥取地裁平成21年10月16日判決)では、休みのない長時間労働でかつ連続勤務が続いた医師が、最後は徹夜の緊急手術の立ち会いの後に次の勤務先に車で移動する途中、過労運転のため事故死に追い込まれています。このような心身ともに辛い状況の中、医師や看護師といった医療労働者の方々は患者と向き合っているのです。医療労働者のサービス残業を放置することは、医療労働者の心身の安全を害するだけではなく、ひいては患者(国民)の安全をも危険にさらす結果をもたらしかねないと思います」

【取材協力弁護士】
波多野 進(はたの・すすむ)弁護士
弁護士登録以来、10年以上の間、過労死・過労自殺(自死)・労災事故事件(労災・労災民事賠償)や解雇、残業代にまつわる労働事件に数多く取り組んでいる。 事務所名:同心法律事務所 ;URL:http://doshin-law.com
     
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事務処理を正確にこなす人の給料が減っている理由

●「業務時間」を定義するのが難しい現代の職場環境

 1990年代後半にオフィスでインターネットにつながったPCが1人1台配備されるようになって以来、本来の仕事以外の雑音がたくさん入ってくるようになりました。ウェブサイトを開けば広告が表示されますし、メールボックスに「今日の何時まで限定セール」などと書かれたタイムセールの案内が入ってきたりします。消費者向けビジネスの活動は、皮肉にも今や「消費者の仕事時間に自社の商品のことを考えさせるのが仕事」であるという見方もできます。

 これは、インターネット販売をしている企業だけでなく、インターネットに広告を出してモノやサービスを売っている会社も同じです。私には、あらゆる企業が人々の仕事時間を侵食しようと躍起になっているようにも見えます。

 PCがインターネットにつながる前の時代は、オフィスで働く人が個人的な消費について考えるきっかけとなったのは、休憩時間や自宅でテレビを見たりラジオを聴いたり、雑誌や新聞を読んだりする時間が中心でした。しかし、現在はインターネットにつながった電子機器に触れている時間すべてで、広告が目に入ってきてしまいます。つまり仕事の邪魔をされています。

 さらにスマートフォン(スマホ)の時代になってからは、社員間の連絡も、会社に認められているかどうかに関係なく、ソーシャルネットワークを通じて行うことが定着化しています。こうなるともう社員がスマホを触っている時間は無法地帯で、経営者側としては痛しかゆしです。社員には業務時間中は仕事に専念してもらいたいと思っていますが、お客さんには逆、つまり就業時間中もスマホで自社の商品の情報に触れてもらうことを期待しています。PCやスマホはもはや業務に欠かせませんし、社員が思わずクリックまたはタップしてしまう行動を通じて、自社商品の開発や売上増加のヒントを得られることもあるでしょう。

 このような状況ですから、現在は「業務時間」というものを定義することが非常に難しくなっています。形式的には会社の建物の中にいる時間、業務のために移動をしている時間、取引先を訪問している時間といえますが、公私の区分けを明らかにするのはもはや不可能です。企業はホワイトカラーの成果や生産性の定義を根本的に見直さなければならなくなってきているといえます。

 また、これらの情報機器の普及と派遣法の改正で、仕事の質が根本的に変わってしまいました。データ入力や、左の物にラベルを貼って右に出すなどの事務作業は、一定規模以上の会社では正社員は基本的にやりません。定常的にそれを行うことが必要であれば、少なくとも派遣社員に任せるか、外注に出します。何百件もの宛名書き、電卓を使っての検算、紙伝票を転記して請求書をつくるといった仕事も、もう存在しません。このような「正確な事務処理」ができる人材が重宝される時代が、ついこの前までありましたが、現在はそのような求人は皆無に近いといえます。

 一方で人手不足が深刻になっています。しかし実態は職種によります。たとえば、「そろばんが二級で、書道が初段の、文系の大卒」、このような資格を持つ人の求人は非常に少なく、今の人材市場のなかで一番悩ましいタイプといえます。

●1人分の仕事を2人でやることが人材育成だった時代

 霞が関の役人と話をしていたら、ぼそりとこう言いました。「そういえば昔は清書っていう仕事があったな」 昔は、仕事の引き継ぎやOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)は、たとえば課長補佐が手書きでメモを書き、「これ、清書しといてください」と部下に指示することによって行われていました。要点が箇条書きされた手書きのメモをきちんとした文章にして、論理的にまとめて裏付けとなるデータを加えて、といったやりとりが部下を育てることでした。

 しかし、今のIT環境のなかでは自分でやったほうが早いので、課長補佐が自分でやってしまいます。データ集めは昔は一苦労でしたが、今はすぐに調べてダウンロードして整理できてしまいます。部下に手伝ってもらうとしたら、せいぜい「エクセルで加工しといて」ぐらいのことしかありません。清書というとまったく無駄な仕事のように見えますが、実はその過程で人を育てていた、というわけです。そして、この先の会話は「その結果、職場のコミュニケーションが悪くなり」「人間関係が希薄になった」から、「職場のコミュニケーションのあり方を見直す必要がある」と進んでいったのですが、話に相槌を打ちながらも、私は「何か違うな」と感じていました。

 要するに昔は1人分の仕事を2人でやっていたということです。昔は非効率を吸収する余裕がありましたが、今は非効率を許容しない社会になってしまいました。このことで「事務処理が得意な人」つまり「正確にこなす人」の 給料は少しずつ下がっていき、「難しい仕事をこなせる人」、つまり「新しいものを創り出す人」にはどんどん仕事が集まっていくようになりました。「創り出す人」と「こなす人」の格差は、これからも広がる一方です。人々がどれだけ不平不満を言おうと、法律でなんとかしようと、この流れは止められないでしょう。企業は利益を求めます。利益の一部は税金として国に納められ、また一部は配当として株主に払われます。

 国に払われた税金は社会インフラの整備や公的システムの運用、住民サービスの提供に使われますし、配当は退職者に支払われる年金の重要な原資です。このように、会社が利益を出すというのは社会にとって非常に大切なことですから、あなたがもし「会社は儲けすぎ、もっと社員に還元を」と思っていたとしても、なかなかそうはなりません。誰でもできる仕事をしている人の給料はできるだけ低く抑え、会社に利益をもたらす仕事をする人には高い給料を払うのが、もっとも自然かつ健全な企業の姿です。

 もし、あなたが現在ホワイトカラーの仕事に就いているとしても、今のままでいられる期間は残り少ないかもしれません。きれいなパワーポイントの資料を自慢したり、エクセルの関数の知識を競ったりしている場合ではありません。創り出す側に行かなければ、この先は本当に暗いと思います。

●創り出すには、努めて非日常を経験すること

 いま我々の多くは、自分たちが子供の頃には存在しなかった職業に就いています。たとえば、携帯電話ショップの店員、M&Aアドバイザー、スマホゲームのプログラマーなどは比較的新しい仕事です。歴史と伝統のある組織に入った人たちも、その多くは昔は存在しなかった仕事をしています。自動車メーカーで電気自動車の開発、石油会社で電気の販売、警察でサイバーテロ対策など、数え上げればキリがありません。

 我々に求められているのは新しいことを学ぶ力、新しい環境への適応力です。「こんなはずだった」「こうでなければならない」という思い込みを捨てなければ、勝負しようとしていたリング自体がなくなってしまうリスクを常に負っているといえます。適応力がある人とは、「皆ができることができて、かつ皆ができていないことをいち早く習得できる」人のことです。そうなるためには、会社の仕事は定時で終わるようにする訓練から始めましょう。できれば、必要に迫られてそうするのではなく、自分から先に仕掛けましょう。そのほうが絶対に面白いはずです。そして、自分から先に仕掛けるには、新しいものを生み出すことが必要です。

 成熟社会における新しいものとは、新しい組み合わせです。新しい組み合わせを考えるには、普段と違った環境に定期的に身を置くことです。私の一番のおすすめは、旅行です。旅行は新しい視点を得るのに格好の活動だと思います。旅行に行くのも、ガイドブックをなぞるようなやり方ではなく、現地の人たちとコミュニケーションし、人と文化を学ぶような旅行をし、そしてそこで気づいたことを実行してみることです。

 本稿の最後に、リーズナブルな価格で家具を販売するチェーン「ニトリ」の創業者、似鳥昭雄さんが日本経済新聞朝刊の連載『私の履歴書』のなかで話していたエピソードを紹介しましょう。似鳥さんが1970年頃に立ち上げた家具のディスカウントストアは、開店当初は飛ぶ鳥を落とす勢いだったのですが、近所に大型家具店ができたところ、業績が悪化し、ほとんど倒産しそうな状況になってしまいました。それはもうネガティブなことばかり考えていたそうです。

 そんな日々が続くなか、アメリカの家具店を視察するセミナーの話があり、似鳥さんはわらにもすがる気持ちで視察旅行に参加しました。現地に行ってまず驚いたことは、洋服ダンスや整理ダンスなど日本でおなじみの箱物家具がなかったことです。アメリカの家では、クローゼットの中に組み込まれていたからです。アメリカの家具店では、家具は部屋ごとにしっかりとコーディネートされ、ダイニングやリビングも豪華で美しい。しかも価格も日本の3分の1でした。

 参加者は口を揃えて「アメリカと日本は違う世界だね」と言いましたが、似鳥さんは「同じ人間がやっているんだ。日本人も便利さや安さを今以上に求めるはず」と考えたといいます。帰国後の反省会では、仲間と皆で「アメリカ風にマネしてみよう」と意気投合しました。しかし、部屋ごとにイメージに合った家具を開発し、それを低価格で販売することを実行に移したのは、似鳥さん1人だけだったそうです。(文=山崎将志/ビジネスコンサルタント)
     
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社員の不正等に絡む労使問題の裁判所の実情と対応のコツ

真実に反した、労働者の主張

昨今、残業代請求やパワハラ等の労働問題で、労働基準監督署に駆け込む新入社員を含む若手社員が急増したように思います。使用者側に非があるケースであれば良いのですが、真実に反した相談内容なのではないかと疑問に思わざるを得ない事例もよく見られます。

今回は、
1.社内で不正を働いた社員を懲戒解雇
2.懲戒解雇をされた社員が、『不正を働いた覚えなどない。証拠もない。にもかかわらず不当に解雇された』として労働基準監督署に駆け込む
3.会社側の落ち度(長時間労働やパワハラ等)により精神疾患を発症したとして労災認定を受ける
4.さらに、会社に対し、多額の慰謝料や未払給与等の請求

という事例について触れたいと思います。

近年ハードルが低くなった、労働問題の弁護士介入

ひと昔前まで、使用者と労働者との紛争に弁護士が介入してくることが現在ほど多くありませんでした。社員に不正がある場合に限らず、能力不足等の事情により解雇をした場合においても弁護士が介入して裁判所で争われるといった事態を心配することはあまりなかったのでしょう。しかし、貸金業者の相次ぐ倒産により、いわゆる過払いバブル時代にこれをよりどころとしていた弁護士の業績が悪化し、残業代請求や不当解雇による損害賠償請求という労使問題に弁護士が積極的に介入するようになってきたことも要因の1つであることは否めません。

弁護士によっては、法律相談料や最初にいただく着手金はいずれも無料とし、実際に会社から支払を受けることができた場合にその一部を報酬としていただくというような価格設定をしているところもあり、弁護士に相談しようという心理的ハードルがかなり下がっている実情もあろうかと思います。

不正をした社員を懲戒処分にした結果、会社が慰謝料を請求される恐れがある

弁護士介入により労働審判や裁判に持ち込まれるケースでは、会社が行った解雇処分が有効と判断されるケースは極めて稀です。解雇、特に懲戒解雇処分に関して、法的には非常に厳しい要件が課されています。解雇処分よりも軽い戒告・減給・停職等の懲戒処分を段階的に踏んで指導の機会を経てもなお改善されない、かつそれが一目で分かる証拠を残しておかないと、懲戒解雇処分は無効とされてしまうケースがほとんどというのが実情。能力不足を理由に懲戒解雇をすることを裁判所が有効と認められることは、まずほとんどありません。

横領や詐欺、背任等の会社に直接損害を与えるような不正事例を行なった社員に対しては懲戒解雇も有効と認められることが多くあります。しかしそれには、「不正の事実」を証拠で証明することが必要です。

証拠の確保ができないまま不当解雇をしてしまえば、証拠も十分でないのに見込みだけで安易に下した不当解雇と判断せざるを得なくなり、被害を受けたはずの会社が不正を働いた従業員に対して、多額の慰謝料や未払給与等を支払うこととなるケースが増加してきているのです。使用者からすると常軌を逸した事態です。しかし、このような事態が増えてきているのが現実です。

それでは、不正などを働いた社員を懲戒としたい場合、会社としては、どのようなことに気をつけて懲戒解雇処分を下せば良いのでしょうか。

【社員の不正事実の調査方法】(およそ事実調査一般に共通します)

下記は不正事実の発生から懲戒解雇処分に至るスキームと段階ごとの留意点です。概略についてのみ記しますが、参照ください。

1.調査体制と調査方針・スケジュールの確立

2.客観証拠の収集

【どのような証拠が必要か?】
請求書、注文書、納品書、契約書、見積書、稟議書、決算書、出金伝票、帳簿類、メール、その他連絡文書等
金銭の流れが分かる預金通帳等
リベートを取得したことが分かる証拠あるいはリベートの費消先の分かる証拠が必要。

※会社の損害の穴埋め等、会社に還流している部分は横領や不法行為とはならない可能性あり。

3.自宅待機命令のタイミング

【調査期間中の自宅待機命令】
原則として賃金支払い義務あり
就労させないことにつき、不正行為の再発、証拠隠滅のおそれなどの緊急かつ合理的な理由が存する場合には支払い義務を免れる(日通名古屋製鉄作業株式会社事件 名古屋地判平3・7・22)

4.当事者及び関係者からの一斉同時聴取

【事情聴取の手法】
事実調査に熟練した弁護士に依頼、それができない場合には2名で聴取
騙されない、性悪説に立つ。全く信じていないという演技も必要。
なるべく録音する
客観証拠をぶつけるタイミングは工夫が必要。手の内を見せない。
自白の獲得は、極めて重要
人は、利益誘導でしか自白をしない
信頼関係の「舞台」を設定する工夫は重要
聴取者、情報集約者、処分者等の役割分担の工夫も一案
客観証拠の収集を視野に入れながら聴取する
弁護士の同席を認める必要はない
聴取内容は、なるべく一問一答式で、実際の話し言葉を忠実に再現した書面を作成の上、署名・押印を求める。本人が頑なに拒否する部分は、そのまま盛り込んであげることで、書面の信用性が高まる。
録音していない場合には、自筆の書面も提出させる
否認している場合にも、後で新たな弁解を出させないために、あるいは、主張の矛盾を浮き彫りにするために、その証拠化は重要

5.事実認定と処分方針の確定

6.弁明手続の実施

処分の見込とその理由となる事実を本人に説明の上、十分に弁解を聞いた上で最終処分を下すべき。これを怠ると、処分が無効となる可能性がある。

7.懲戒解雇

解雇後の本人の調査協力は得られないので(逃げた者勝ちになる可能性が高い)、その前段階、社員の身分を有する間の早い段階での調査と証拠の確保が決定的に重要。任意の証拠提出依頼を繰り返し、ありとあらゆる証拠を早期に確保すべきである。調査協力及び拒否に関する規程類の整備も考慮に値する。

【モデル就業規則】

第○条 従業員の調査協力義務

1.会社は、コンプライアンス違反の疑いを察知したときは、当該事実の有無、その内容等について必要な調査を行う。

2.従業員は、前項に基づき会社が必要性を認めて適宜の方法により実施する調査に協力する義務を負い、正当な理由なく調査への協力を拒んではならない。

3.会社は、第1項に基づく調査に際し、必要に応じ、従業員に対し、自宅待機を命じることができる。

8.刑事告訴、民事訴訟等の手続選択

告訴して刑事手続を先行させられると楽。捜索は、刑事事件でしかできないし、100万円を超える場合には、弁償しないと実刑になる可能性が高く、否認せずに認めて、必死に弁済しようとする動機が一気に高まる。刑事記録の入手が可能になるし、警察・検察と弁護士が連携して、強制執行に必要な情報の入手も可能となる。

告訴先は、所轄の刑事二課か、検察庁の特別刑事部。

民事裁判官は、刑事手続以外での証拠収集の限界や、横領や背任等の経済事犯犯の認定方法を必ずしも正確に理解しているとは限らない。

さいごに〜リスクを軽減するために〜

前項で述べたような事実調査を実施し、不正等の事実を証明できる証拠をきちんと確保した上で懲戒処分を下したとしても、必ず有効になるという保証はありません。その処分の有効無効は裁判官の判断に委ねられているためです。

つまり、使用者は常に抱えるリスクについて考えなければなりません。

手を尽くしても払拭し切れないリスクに対しては保険が有効であり、唯一のリスク軽減の手段といえます。「保険でカバーできる部分は大胆かつ実務的に。保険でカバーできない部分は法的にプロテクトしつつ慎重に。」これがリスク管理の基本的な考え方であり、私たちが使用者にアドバイスする上でも常に心がけていることです。最後に、近時急増する労使問題で使用者側が裁判所で敗訴するリスク等に備える各種保険が売り出されていますので、その一部を紹介いたします。

〜雇用慣行賠償責任保険(EPLI)の活用の検討〜

・不当解雇を含む無効な懲戒処分、セクハラ・パワハラ、名誉毀損等での損害賠償金(不当解雇による未払給与含む)及び弁護士費用を含む裁判費用をカバー

・東京海上日動火災保険、あいおいニッセイ同和損保、AIG損害保険会社、チューリッヒ保険会社等で商品化している
     
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意外と知らない「自己破産」どんな手続き方法がある?

「自己破産」という言葉をお聞きになったことがあると思います。これは、簡単にいってしまえば、返済することができないほど負債を抱えた人が、持っている財産を清算して債権者に配当することで、残った債務の支払いを免れる手続です。今回は自己破産について解説してみたいと思います。

■自己破産の手続方法は2種類ある

個人の破産の場合には、管財手続と同時廃止手続という2種類の手続が行われています。原則は管財手続といって、裁判所から選任された破産管財人弁護士が財産状況等を調査し、必要があれば破産者の財産を換価し、債権者に対する配当を実施する手続になりますが、個人の破産者の中には、配当に資する財産を持っていないことが、一見して明らかであり、管財人による調査が不要と思われることがあります。

このような場合には裁判所の判断で、破産手続が開始されると同時に廃止の決定もなされ、破産手続が終了します。このような手続を、同時廃止手続といいます。同時廃止手続の方が簡易な手続ではありますが、あくまで例外的な手続となりますので、同時廃止手続を希望しても必ずしも認められるものではありません。なお、破産手続の最大のメリットは債務の支払いを免れることにありますが、厳密には破産手続の中には免責は含まれておらず、別途免責許可の申立をする必要がありますので、この点には注意が必要となります。

■免責について

免責については、法律で定められた免責を認めない事由(=免責不許可事由)があり(破産法第252条1項)、これに該当しない場合には免責が許可されるという仕組みになっています。免責不許可事由としてよくあるものとしては、浪費やギャンブルによる借り入れのほか、一部の債権者のみに対する弁済(偏頗弁済)、財産隠しなどが挙げられます。免責不許可事由がある場合には財産がないことが明らかであっても、あえて管財人を選任し、免責の可否についても管財人に調査させる場合もあります。こうすることによって、形式的には免責不許可事由がある場合であっても、裁判所による裁量免責という道を残しています(同条2項)。

仮に免責許可決定を得て、晴れて借り入れから解放されたとしても、再度の免責許可を受けるためには免責許可決定の確定の日から7年の経過が必要となりますので、油断して再度借り入れを作らないようにすることが重要です。借金にお悩みの場合には、まずは専門家に相談しましょう!

*著者:長山 るみ(弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。離婚問題から債務問題まで幅広く精通。思わぬトラブルに巻き込まれると、心身共に疲弊し、どのように対処していいのか途方に暮れることもあると思います。 そんな時は是非ご相談ください。)
     
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■知らなきゃ損! 各社取り組み強化する個人型確定拠出年金 金融機関の選び方

加入対象がほぼすべての現役世代に拡大する改正法が成立したことで、個人型確定拠出年金(個人型DC)に注目が集まっている。個人型DCは老後資金を目的に自分の専用口座で毎月投資信託などを積み立てる制度で、積み立てた全額が所得控除の対象になる点が大きなメリットだ。所得税や住民税を軽減する効果が高いため、老後に備えながら現役時代からも恩恵を受けることができる。

 しかも、運用益も事実上非課税で、受け取り時も退職所得控除や公的年金等控除の対象となる。結論としては、老後資金の形成手段としては圧倒的に有利で、使わなければ損といっても過言ではない金融商品だ。これまでは自営業者や企業年金を持たない会社員など、老後の年金が手薄な層の「特権」だったが、2017年からはほぼすべての現役世代に門戸が広がる。

 個人型DCは利用者には有利でも、金融機関にとっては利幅が薄い商品だ。信用金庫や信用組合も含めると200近い金融機関が提供しているが、多くは「片手間」で、広告もほとんどされてこなかった。

 しかし、法改正で対象者が大きく拡大することで、今後は規模のメリットが生まれることになる。また、個人型DCで新たに投資にチャレンジする人を取り込むことで顧客層のすそ野拡大も狙えるとあって、金融機関でも品揃えやサポート体制を強化する動きがみられている。

 すでにSBI証券が法改正を見越して今春に個人型DCで投資できる投信商品を20本追加したほか、りそな銀行でも全店舗で相談や申し込みに応じる体制を整えた。また、楽天証券が新規参入を発表したほか、フィンテックベンチャーの「お金のデザイン」と福利厚生代行の「ベネフィットワン」が業務・資本提携して設立した子会社MYDCも参入する。

 個人型DCに加入するには、自分で金融機関を選んで加入手続きをする必要がある。節税メリットはどの金融機関を選んでも同じだが、どんな金融商品に投資できるかは金融機関によって大きく異なる。また、口座を開く際と、維持する間は手数料が必要になるが、この金額も金融機関によって差がある。

 このため、金融機関を選ぶ際は、まず投資したい金融商品があるかを確認しよう。仮にインデックス投資を中心に考える場合、TOPIX(東証株価指数)など同じ指数に連動する投信なら運用成績はどれを選んでも同じだが、自動的に差し引かれる信託報酬は商品によって大きく異なるので注意が必要だ。

 信託報酬自体はわずかだが、長期間積み重なると見過ごせない額となる。たった0.1%の差でも、100万円を30年間運用すると残る金額は3万円変わることになり、収益に与えるインパクトは小さくない。一つひとつの商品を吟味して、同じような投資商品であればなるべく信託報酬が安いものがある金融機関を選びたい。
     
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老後、なぜ大半の人が貯金不足で後悔するのか?自動的に毎年15%儲かる老後資産形成法とは

●確定拠出年金法の大改正が実現し、お金のトリセツに1項目加わる

 5月24日に確定拠出年金法の改正が実現し、2017年1月より現役世代なら誰でも個人型確定拠出年金に加入できることになりました。確定拠出年金といわれてもほとんどの人はぴんとこないと思いますが、現代の「お金のトリセツ」に「老後のお金の貯め方」という一章を設けるとしたら、必ずその利用が推奨される有利な仕組みのひとつです。

 有利な点は「税制優遇」です。自分の老後に向けて積み立てたお金を確定拠出年金口座に入金するだけで、所得税と住民税が軽減されます。年収や家族構成等の条件にもよりますが、15〜20%くらいを実効税率とすれば、最初からその分を運用で稼いだと同義で、最初から無条件で稼げる投資といえるわけです。

 もう少し詳しくいえば、本来1万円を稼いでも、所得税や住民税が引かれるので8000〜8500円が手取りになります。ところが、確定拠出年金の口座に入金することを選択すれば、1万円がそのまま入金されるのです。月400〜500円の事務コストが生じますが、それでもお得です。

 しかも運用によって得られた収益については、受け取り時までずっと非課税になります。通常なら運用益には20%課税されるので、税金の差が明らかに資産額の差につながります。

 さすがに受け取り時に課税があるものの、税率は現役時代と比べ軽減されており、一括で受け取った場合、退職金みなしとなり非課税になる可能性すらあります。

 仮に22歳から60歳まで月1万円を積立に回し、年4%の運用益(手数料等控除後)が得られたとすれば、300万円もの差がつきます。

※項目名:確定拠出年金、通常の資産形成
・毎月の積立額:1万円、8500円
・運用益:4%、3.2%
・最終受取額:1068万円、755万円

 ここで重要なのは「そもそも積立に回した額は同一」「そもそもの運用成績は同一」でありながらこの差がつく、ということです。税金の差というのは長い目で見ると大きな差になる、というわけです。ちなみに確定拠出年金口座の資産は個人財産なので、国の制度だからと世代間の支え合いという理屈で減らされることもありません。

 この確定拠出年金制度、今までは会社が実施している場合に企業型確定拠出年金に強制的に入るか、自営業者か企業年金のない会社員が任意で個人型確定拠出年金に入るしかチャンスはありませんでした。今回の法律改正で、下記のように利用範囲が拡大されます。

(1)企業年金のある会社員でも利用できる(=会社員は誰でも利用できる)
(2)公務員も利用できる(実は退職金をごっそり引き下げられているので穴埋めが必要)
(3)専業主婦も利用できる(専業主婦も自分の退職金を持つことができる)

 簡単にいえば、現役世代は誰でも確定拠出年金を使った老後資産形成が可能になるわけです。これは日本の老後資産形成の大きな変革です。

 ところが、個人がこういった魅力のある制度を有効活用しているとはいえない状態にあります。すでに入れる人でも個人型確定拠出年金に加入している人は1%くらいしかないのです。

●老後のお金を貯めたいなら、セオリーはもうはっきりしている

 ある統計では20代を除くすべての世代で、不安の第1位は老後の経済的不安でした。「老後破産」のようなテレビ番組や書籍が注目を浴びていますが、誰もが老後のお金の不安を抱えている時代です。

 しかし、老後のお金の問題について、問題の構造ははっきりしています。

 まず「老後になってから老後の経済的備えをするのは不可能である」ということです。年金の一部を貯金し10年後に回すようなことは不可能ですし、リタイアしたのだから仕事で稼いで貯金することももうできません。年金生活になってから気づいても遅く、その準備は現役時代に始めて現役時代に終わらせなければならないのです。

 言われると当たり前のことに思いますが、ほとんどの人はきちんと実行していません。定年退職者のほとんどすべての人が「もっと早く気がついて、もっとお金を貯めておけばよかった」と愚痴をこぼします。

 読者がまだ定年前なら、老後のお金を貯めるための選択肢は「今やるか、やらずに定年までずるずる暮らして後悔するか」の二者択一なのです。

●しかし、老後のお金を今貯めることほど難しいことはない

 理屈として、老後のお金が老後に貯められないことを知っていたとしても、誰もがはいそうですかと老後のための資産形成にいそしむわけではありません。

 むしろその逆で、私たちは非合理的な行動を取ってしまいます。これは行動心理学を経済学に応用した行動ファイナンスの研究成果でも明らかです。ゴールが遠すぎ、目標金額が大きいテーマから私たちは目を背けます。近視眼的損失回避などといいますが、今何かを我慢しなければ将来の備えはできないとしても、リアリティがない老後のために目の前の生活を切り詰められるほど、人は強くないわけです。

 私たちは毎月の家計を安定的に維持するだけでも大変です。そのうえ住宅ローンの返済(購入前なら頭金づくり)、子どもの学費準備などの「目の前にゴールが明確に迫っている資金ニーズ」に追われる日々です。数十年先の老後のために3000万円くらいを計画的に積み立てよう、とはいかないわけです。

 しかも、「子どもが大学を卒業したら自分の老後に備えよう」「住宅ローンが終わったら自分の老後の貯金をしよう」というアプローチも通用しません。現在暮らす人たちの多くは、子どもが卒業したら50歳代後半から60歳代前半であったり、住宅ローンの返済終了年齢を60歳代から70歳代に設定しているからです。「Aが終わったらBに着手」というわかりやすいやり方は、老後のお金には通用しなくなっています。

●とりあえずでも今すぐに加入し、自動的に積み上げることがもっとも効果的

 私たちが非合理的なのは仕方がないことです。すべて理詰めで合理的行動をする人ばかりだったら、人生はもっとつまらないものになってしまうでしょう。味は無視して吸収率と栄養バランスだけでカロリーを摂取していたら、つまらない人生ですよね。

 しかし、非合理的行動が長い目で見て不毛な結果を導くことがわかっているなら、ひとつだけアクションを起こして、その後は自動的に効果的行動につながるような「しかけ」を講じてみてはどうでしょうか。

 老後資産形成についていえば、

「1カ月でも早く始める」
「少額でもいいので定期的に積み立てる」
「中長期的に高い利回りが期待できるものに投資する」
「税制優遇のある口座は優先して使う」
「中途解約は絶対にしない」

という仕掛けをつくる必要があります。

 なにやら面倒なルールですが、ひとつの行動だけで完結します。そう、今回改正された確定拠出年金を活用し、「確定拠出年金の加入書類を書き、積立をスタートする」という選択をするだけでいいのです。

 確定拠出年金の積立可能額は、月額1.2〜6.8万円(働き方によって限度額が変わる)ですから、まずは月1〜2万円でかまいません。原則解約できない口座ですし解約してはいけないので、無理に高額を入れ続けることは避けるべきです。

 運用の選択肢については、低コスト(高くても年1%、できれば年0.5%以下)のバランス型投資信託1択で十分です。たとえ株価が下がっても放置し、株価が戻るまで運用を続けます。

 日本経済新聞電子版の記事(2016年1月4日)でも、10年積立投資を続けた場合、一時的にマイナスになっても9割の確率でプラスに戻るというシミュレーションが出ています。このシミュレーションでは、5年でやめてしまうとプラスになる勝率は75%だったとのこと。ほとんどの人の投資の失敗は、我慢できずに途中で諦めてしまうことなのです。値下がりが辛くなったら、「所得税・住民税を引かれなかった分、もともと15〜20%は儲かったようなものなのだから、損をしていても実質プラスだ」と言い聞かせて我慢してください。

 上記の作業であれば、最初の書類時点で完結しますので、手続きは1回だけですみます。2010年代の「お金のトリセツ」、老後資産形成のルールは、「確定拠出年金を活用する」ということになります。投資方法詳細については、拙著『誰でもできる確定拠出年金投資術』(ポプラ社)でも紹介していますので、よろしければご覧ください。

 規制緩和は17年1月からの予定です。早く始めた人ほど、確実に老後の資産が増えます。それまで各社のサービス比較をしながら準備をしておきましょう。
     
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社会保険加入=「手取りが減る」と感じてませんか? 「国民健康保険」や「国民年金」より手厚い給付があります

よく労働者の方より「社会保険に加入しなければなりませんか?」といった質問を受けます。一般的に「社会保険」とは「健康保険」と「厚生年金保険」のことをいいます。 「社会保険」は、一定条件に該当する方であれば、働いている会社が「社会保険の適用事業所」であれば必ず加入しなければなりません。強制加入です。 社会保険加入と聞くと「手取りが減る」と感じてしまう方もいらっしゃると思いますが、多くのメリットもあります。
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「社会保険」の加入条件

「社会保険」は、会社が「社会保険の適用事業所」であることが前提となります。法人であれば「社会保険の適用事業所」となり、原則として多くの会社が「社会保険の適用事業所」になると考えてよいでしょう。

■(1) 正社員

「社会保険の適用事業所」で働いている正社員の方は原則として社会保険に加入しなければいけません。

■(2) パートタイマー等

一定以上の雇用契約期間があり、一定以上の労働時間・労働日数がある(正社員のおおむね4分の3とされています。)と社会保険に加入しなければいけません。また、大企業の社会保険の加入条件は、平成28年10月より変わっているので以前の記事でチェックしてみてください。

「社会保険」加入のメリット

■(1) 「社会保険料」は会社が半額負担

 「国民健康保険」や「国民年金」の保険料は全額自己負担であるのに対して、「健康保険」や「厚生年金保険」の保険料の半額は会社負担となります。

■(2) 「国民健康保険」や「国民年金」より手厚い給付がある

a. 「健康保険」には「国民健康保険」にはない、病気やケガをし会社を休んだ場合に一定額の給与が補償される「傷病手当金」や女性が出産時に産前・産後休暇により休んだ場合に一定額の給与が補償される「出産手当金」などがあります。

b. 「厚生年金保険」は、老後に給付される老齢年金であったり、障害を負った場合の給付や亡くなった場合に家族へ給付される年金や給付金など「国民年金」のみに加入している場合に比べ手厚く補償されています。

■(3) 扶養者という概念がある

「国民健康保険」や「国民年金」
扶養という概念がないために、個人個人が被保険者として加入する必要がありそれぞれ保険料がかかります。
「健康保険」や「厚生年金保険」
扶養者という概念があり、扶養者認定されれば保険料がかからないため支払う保険料を抑えることができます。
「社会保険」に加入していることでメリットがあります。

ただし、「社会保険」の保険料は以前の記事でも記載しましたが、給与額により保険料も変わってきますので注意が必要です。
     
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■知らなきゃ損!国民年金は満額払うべき? 受給額を増やす裏ワザ公開!

節約やお得な裏ワザが大好きなマネーライター・大上ミカが、知らなきゃ損するマネーの裏ワザを体当たり取材する!

 * * *
 私たちが納めている国民年金保険料は、毎月1万6260円。これを40年間コツコツ払い続ければ、将来“老齢基礎年金”が78万円ほど(平成28年度の場合、年間で)受け取れるわけだけど、これってあくまで“満額”を支払った場合。保険料に未納があると減額される、って知っていましたか?

 な・の・に、わが妹だけじゃなく、年金を払い忘れている人や自分の年金支払い状況についてあまりよくわかっていない人って多いみたい。

 だって、最近の年金納付率を調べてみたら6割程度(※厚生労働省調べ。平成27年4月分〜平成28年1月分[現年度分]の納付率は61.2%)だったの。半数近くが払ってないって、ちょっとびっくりじゃありません!?

「うちは夫が会社員だから、厚生年金が天引きされていて、未納したくてもできないわ〜」とおっしゃるあなたも安心するなかれ。

 たしかに会社員やその妻は、厚生年金保険料を払うことで自動的に国民年金を納めたことになりますが、学生時代、「年金なんて払うのムリ!」なんて、滞納していませんでした? 昔のことだからって忘れたままにしていたら、後で大変なことになるみたいですよ〜。

 その辺の詳しい事情を、社会保険労務士の和田雅彦さん(以下、「」内同)に、聞いてきました!

◆国民年金ほどお得な保険はない 追納してでも満額払うべき!

「老齢基礎年金を満額で受け取れるのは、20〜60才までの40年間、合計480か月分の保険料を納めた人だけ。未納や免除期間があると減額され、老後の収入が減ります。さらに、加入期間が合計で25年未満だと受給資格がなく、年金は0になってしまいます」

 1か月足りないだけでもアウト。1円も出ないんですって。厳し〜!!

 加入期間は、日本年金機構から毎年誕生月に送られてくる“ねんきん定期便”か“ねんきんネット”(登録が必要)、年金事務所で確認できます。

 じゃあ、加入期間が25年に満たない場合はどうしたらいい? あきらめるしかないとしたら、払った分は損しちゃうじゃない!?

「ご安心を。近い将来、最低加入期間が10年に短縮される予定です」

 おお! 10年なら妹もセーフ♪ でも、どうせ払っているんだったら、やっぱ満額もらいたいよね。今からでもなんとかできないのかしら。

「滞納分を後から支払う後納制度があります。ただし、これができるのは、過去5年間(平成30年9月まで)。それを過ぎると、納めたくても納められません」

 ガーン。もう手遅れだわ…。

「ただし、経済的に厳しいなどの理由で免除や猶予申請をしている場合、10年以内は追納が可能。その期間は加入期間にカウントされますから、年金を払えない時は、滞納するのではなく、ぜひ、申請をしておきましょう」

 妹は、申請をしてなかったはず…。でもまぁ、仮に追納できたとしても、保険料をまとめて払うとなると相当な額よね。ぶっちゃけ、それでも払うメリットってあるの?

「あります(きっぱり)! 40年間の総払込額は現在の保険料で換算しても約780万円。仮に85才まで20年間年金を受け取ると、約1560万円となり、ほぼ倍額で、民間の個人年金保険ではとても実現できないといわれるほど“お得”なんです。さらに保険料は、所得から全額控除されるので、節税効果も大きい。もう一度言います! 国民年金って、かなりお得な制度なんですよ」

◆追納できる裏ワザ&受給額が増える裏ワザとは?

 あわわ、保険料を納めた方がいいのはよくわかったわ! でも、妹は免除申請してないし万事休すでしょ。

「じつは、裏ワザ…つまり、最後の救済措置があるんです。それは、“60才以上での任意加入”。国民年金の納付義務は60才までですが、その後も任意で加入でき、未納期間のカバーにあてられるんです」
     
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150万円の壁」は扶養範囲の拡大ではない 妻が収入を増やしても妻本人は優遇されず、夫の納税額を優遇するという話です

今回の改正は「扶養の範囲が拡大している」と考えないほうがよい

平成30年より新たにできる「150万円の壁」…女性の社会進出を促す目的があった改正がやや不思議な方向に進みました。

配偶者控除の上限が年収150万円に引き上げられるとされ、そのように大々的に報道されていますが、政府・与党等の発表資料を見ると、この表現は大筋ではあっていますが厳密な部分が少し違っているようです。

下記のように理解されている方がいらっしゃるかもしれませんが、厳密な部分を理解するとこれは誤解であることがわかります。

【誤解】

× 妻本人は給与年収150万円でも課税されない(正解は課税される)

× 「103万円の壁」は無くなり、給与年収150万円でもいわゆる扶養の範囲(=税法上の控除対象配偶者)になる

【正解】はこれまでより優遇された形の「配偶者特別控除」対象者

今回の改正では、妻が収入を増やしても妻本人は優遇されず、夫の納税額を優遇するという話です。

150万円の壁は、妻本人の手取り給与(可処分所得)に影響する106万円の壁・130万円の壁、夫婦両方に影響する(従来の)103万円の壁とは異なります。

「103万円の壁」等を基準とした(給与の)配偶者手当の廃止が進んでいますし、パート主婦の就労調整を少しでも減らすため、配偶者がいる方の税を優遇しようという国側の目論見はありますが、扶養の範囲が拡大していると考えないほうがよさそうです。

配偶者特別控除を大きく変えようとしている

配偶者控除の上限は(配偶者の)年収103万円(合計所得金額38万円)から変わりません。

年収103万円〜150万円(合計所得金額38万円〜85万円)は従来どおり「配偶者特別控除」の対象となる方向です。

配偶者特別控除は妻の年収が上がっていくと、夫の控除額が段階的に下がります。ただし年収103万円〜150万円であれば、

配偶者特別控除額 = 配偶者控除額(38万円?)

→ 正解は以下参照

になるよう改正されますので、結果的に夫側は、妻が年収103万円以下である場合と同じ控除を受けることはできます。

その意味では「配偶者控除の対象拡大」の趣旨は満たしています。

また上記控除額の正解ですが、従来では所得税では38万円・住民税では33万円です。

この数字は今回の改正で夫側の合計所得金額900万円(給与年収1120万円)以下に限定され、それを超えると

・900万円超〜950万円:所得税26万円・住民税22万円

・950万円超〜1000万円:所得税13万円・住民税11万円

に減額され、1000万円(給与年収1220万円)超では配偶者控除・配偶者特別控除とも受けることはできなくなります。

今後も「103万円の壁」越えで本人課税はされる

同じ扶養家族でも税法上は、

配偶者(=控除対象配偶者)
配偶者以外(=扶養親族)

を区別しています。

ただ両者の要件はもともと同じであり、前段のような「配偶者特別控除」の対象者は「控除対象配偶者」とは呼びません。

この改正で配偶者以外の要件は給与年収103万円以下なのに、配偶者だけは給与年収150万円以下に引き上げられるのかと、筆者は当初不思議に思いました。

さらに、まさか配偶者は年収150万円でも課税もされないのかと…。

しかし、冒頭にあげた通りこれら2点の考えは違うのです。

給与所得控除額65万円+基礎控除38万円 = 103万円 

を超えることで所得税は発生し、扶養の要件を外れる「103万円の壁」が、妻側には残ります。

あくまでも妻が年収150万円まで増やしても、夫側の優遇措置として配偶者控除に等しい控除を受けられるという話です。

また「扶養親族」と「控除対象配偶者」をあわせた「扶養親族等」の数は、国民年金保険料全額免除などの社会福祉制度にある所得制限にも影響します。

数が多いほど、基準となる所得は上がり有利になります。
.
これからもパート主婦本人には所得税や住民税は発生します

例えば給与年収104万円の(同一生計の)妹を扶養にカウントせずに年収150万円の妻を扶養にカウントするようなことがないように、また年収103万円超が課税されないとの誤解を与えないように、年収103万円超は従来通り「配偶者特別控除」の対象にするよう制度設計されていると推測されます。

年収103万円を超えると、「扶養親族等」の扱いにならず、また今後もパート主婦本人には所得税や住民税(年収150万円で所得控除無しでは7.6万円程度)が発生する点は注意が必要です。
     
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メンズエステで客が「性行為」持ちかけて迷惑…会話を無断録音して証拠として出せる?

「お客のマナーが悪く困ってます」。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、メンズエステ店の経営者から悩みの投稿が寄せられた。

この店では、紙パンツを履いた客にオイルマッサージを施している。風俗店ではなく、局部など際どい部分には触れていない。にもかかわらず、男性客が女性セラピストに無理やり触ったり、性行為を持ちかけたりと、迷惑行為が続いているようだ。

裁判も検討しているようで、この経営者は「お客に無断で施術中を録音して、裁判の際に証拠として出してもいいでしょうか」と尋ねている。客に断りもなく、録音することはプライバシー的に問題ないのだろうか。大橋賢也弁護士に聞いた。

●無断録音を認めた最高裁判決がある

ーー裁判で損害賠償を請求できるのでしょうか?

このマッサージ店は風俗店ではないとのことなので、無理やりセラピストを触ると、部位によっては強制わいせつ罪が成立します。また、性行為の強要は強姦罪が成立します。

つまり、客の行為が違法行為として不法行為が成立する場合は、損害賠償請求の対象になります。

ーー客に無断で録音することはプライバシー侵害にならない?

無断録音については、参考になる最高裁判例があります。この裁判では、詐欺事件の証拠として提出された録音テープが、相手方に無断で録音されたことから、証拠能力の有無が争点になっていました。最高裁は以下のように述べています。

「詐欺の被害を受けたと考えた者が、相手方の説明内容に不審を抱き、後日の証拠とするため、相手方との会話を録音することは、たとえそれが相手方の同意を得ないで行われたものであっても、違法ではなく、その録音テープの証拠能力は否定されない」(最決平12.7.12)

本件も、強制わいせつ罪や強姦罪という犯罪行為が行われた際、後日の証拠とするために録音するわけですから、プライバシー権の侵害にはならず、録音テープの証拠能力も認められます。

また、民事事件では、東京高裁が秘密録音の証拠能力について、次のような判決を出しています。

「その証拠が、著しく反社会的な手段を用いて、人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって採集されたものであるときは、それ自体違法の評価を受け、その証拠能力を否定されてもやむを得ない」(東高昭52.7.15)。

したがって、録音の方法が著しく反社会的でなければ、録音テープの証拠能力は認められることになります。今回のケースでは、よほどのことがない限り、問題ないと考えられます。

ーーもし録音が外部に流出してしまったら?

プライバシー権の侵害になり得ます。ですから、録音媒体の管理には十分注意しなくてはなりません。録音はしたけれども、特に問題がなかったというような場合は、すぐに消去する方が良いでしょう。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
大橋 賢也(おおはし・けんや)弁護士
中央大学法学部法律学科卒業。平成18年弁護士登録。神奈川県弁護士会所属。離婚、相続、成年後見、債務整理、交通事故等、幅広い案件を扱う。

一人一人の心に寄り添う頼れるパートナーを目指して、川崎エスト法律事務所を開設。趣味はマラソン。

事務所名:川崎エスト法律事務所
事務所URL:http://kawasakiest.com/
     
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「SNSストーカー」で逮捕・・・なぜ本来適用されない「ストーカー規制法」は適用されたのか

千葉県内で17歳の女子高校生に対してSNSの書込みをしたことで,38歳の男性がストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたと報じられています。

ストーカー規制法といえば、実際につきまとう場合や電話をかける行為などに適用される法律ですが、SNSへの書込みでストーカー規制法が適用されるのでしょうか。検討してみましょう。

■ストーカー規制法の規制はSNSに直接の適用はない

少々語弊があるかもしれませんが、ストーカー規制法はSNSに直接の適用がありません。これだけSNSが発達しているので意外に思われるかもしれません。

しかし、ストーカー規制法が連絡に関して規制しているのは以下です。

「電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。」

SNSはこれに列挙されていないので、ストーカー規制法を直接適用することができないのです。

■ただ、適用する方法はある

では、本件ではどうやって適用したのでしょうか。

報道によると、男性は、SNSで性的な内容を含む、名誉を傷つける書き込みを1か月ほどの間に20回あまり繰り返したり、高校の文化祭に押しかけたりしていたとのことです。

ストーカー規制法では、「性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置」くことや、「学校…に押し掛けること」を「つきまとい」としています。

性的内容で名誉を傷つける書込みを繰り返すことは前者の規制にあたり、文化祭に押しかけることは後者の規制にあたります。

そこで、ストーカー規制法の適用ができるということになります。本件でも、このようにしてストーカー規制法を適用したものと思われます。

■名誉毀損罪に当たらないのか?

ところで、SNSで性的な内容を含む、名誉を傷つける書き込みを1か月ほどの間に20回あまり繰り返したということなので、これは内容によって名誉毀損罪にあたる可能性も十分あります。

しかし本件では名誉毀損罪の適用をしていないようです。これには何か理由があるのでしょうか。

この点ははっきりとした理由は分かりませんが、スピードを重視したではないかという気がします。

名誉毀損の場合は刑事課が担当するのが通常ですが、ストーカー規制法の場合は生活安全課が対応します。

通常、一般の方が被害相談に行く際は、生活安全課が話を聞くことになるため、生活安全課が対応するのがスムーズだったという事情があるのではないかと思います。

また、つきまといに当たるかどうかという判断は、名誉毀損にあたるかどうかの判断よりも比較的容易と思われ、ストーカー規制法の方が適用がしやすいだろうと思料されます。

そして、学校に押しかけていたということもあるので、緊急性があると判断された結果、ストーカー規制法での立件となったのではないでしょうか。

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
     
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「画面が割れた」スマホ当たり屋に遭遇したらどうすべき?

これを読んでいるあなた、スマホの画面、割れてませんか? 修理費が高価だったり、割れていても意外と使えてしまったりで、割れたまま使い続けている人が目立ちます。

電車内で画面割れスマホを持っている人を見ているうちにふと、「これが割れたのはあなたがぶつかってきたからだ!」と難癖を付けられたらどうすればいいのだろうと心配になりました。

こんな場合について、水田法律事務所の河野晃弁護士にお伺いしました。

■弁償は断固拒否すべし!

スマホを見ながら歩いて来た人が、自分にぶつかりスマホを落とし、「画面が割れた」と弁償を求めて来ました。

しかし、そもそもぶつかってきたのは相手であり、落とす前に割れていなかったという証拠もありません。このような際、現場ではどのように対処するべきでしょうか?

「スマホを見ながら歩いてきて向こうからぶつかってきたのであれば、こちらに落ち度はありませんね。毅然とした態度で『あなたがよそ見をしてぶつかってきたのだから、あなたに過失がある』ということを伝えて支払いを断固拒否しましょう。

それでも相手がしつこく食らいついてきたら、『警察を呼びましょう』と提案して実際に呼んじゃいましょう。もし相手が当たり屋のように意図的にぶつかってきてお金を取ってやろうというような場合、相手はその場から離れると考えられます。

警察等の第三者がいない間に、連絡先の交換をするとか、何か支払いについて決めてしまうということは避けたほうがよいでしょう。可能であれば、隙をみてスマホでやり取りを録音するなどしておくと後々使えるかもしれませんね」(河野弁護士)

向こうがぶつかって来た場合は弁償の必要はないと考えていいのでしょうか?

「向こうからぶつかってきたというケースでこちらに賠償責任が生じるということは考えにくいでしょう。

ただし、こちらが歩きスマホ等をしていてぶつかった場合は、相手に『そっちがぶつかってきた』とは言えないので、厄介です。

その場合、向こうの言い分が正しいことも有り得ますし、何より強く言えませんよね。ただ、わざとぶつかったわけでなければ、民事的な責任を負うことはあっても、犯罪に問われることはありません」(河野弁護士)

■スマホ当たり屋は詐欺罪!

元々壊れていたスマホを持ちターゲットにそれとなくぶつかりスマホを落とし、あたかも今壊れたように装い弁償を請求するという「スマホ当たり屋」が、全国で確認されています。これはどのような罪に当たるのでしょうか?

「元々壊れていたものを『今壊れた』と相手を騙す発言をして、それを被害者が信じて錯誤に陥り、金銭の支払いをした時点で詐欺の既遂罪となります。被害者が騙されることなく支払いをしなくても、詐欺未遂罪となるでしょう。

ただ、こういう犯罪は“スマホが元々壊れていた”ことをその場で立証することが困難なので、警察が事件として取り合う可能性は低いのではないかと思われます。

同じような被害がほかにも出て、同じ人が何件もやっているということになれば、警察も本腰を入れるかもしれませんね」(河野弁護士)

壊れたスマホを見せられてもそれがいつ壊れたものなのかを判断するのは難しいもの。

スマホ当たり屋から身を守るには、歩きスマホしている人とはぶつからないようにするのが第一の策となります。そのためにもまず自身が歩きスマホ、ながらスマホをしないことがもっとも大切なのではないでしょうか。

*取材協力弁護士:河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活6年目を迎える。敷居の低い気軽に相談できる弁護士を目指している。)

*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)
     
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マルチ商法、ネズミ講、マルチまがい商法・・・結局何がどう違うの?

「ネズミ講」や「マルチ商法」、「マルチまがい商法」、「ネットワークビジネス」など、何となく誰かを勧誘して金銭をもらえるという仕組みが同じであり、区別がよくわからないという方も多いと思います。

今回はこれらの取引の違いや規制法等を説明したいと思います。

そもそもネットワークビジネスというのはマルチ商法とほぼ同じものです。

また、マルチまがい商法というのも、現在ではマルチ商法と全く同じものです。ですので、大きく分けると「ネズミ講」と「マルチ商法」という2つの形態があることになります。

●ネズミ講とマルチ商法の大きな違い

ネズミ講もマルチ商法も、新しい会員を入会させると手数料、バックマージンのような金銭がもらえるという仕組みは同様です。

ただ、大きな違いは、マルチ商法は化粧品やサプリメント、日用品や電化製品などの商品販売を実際に行っているのに対し、ネズミ講はそのような商品販売を行っておらず、金銭だけのやり取りに終始しているという点です。

●ネズミ講は法律で禁止されている

次に法律での規制についてですが、ネズミ講は正式には「無限連鎖講」といい、無限連鎖講の防止に関する法律(俗にいう「ねずみ講防止法」)によって禁止されています。開設、運営した場合には3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金という罰則まであります。

●マルチ商法は禁止されていない

一方マルチ商法は「連鎖販売取引」と呼ばれています。マルチ商法は特定商取引に関する法律により、広告の内容や客の勧誘の方法等について規制されていますが、ただ、マルチ商法はネズミ講と違い、「マルチ商法防止法」のようにマルチ商法を直接禁止する法律はありません。

なお、マルチまがい商法というのは、連鎖取引販売のうち従来の法律では規制できなかったものをかつては「マルチまがい」と呼んでいたのですが、法改正により規制が拡大されたため、連鎖取引販売はすべてマルチ商法となり、マルチまがい商法とマルチ商法は同一のものになりました。

●どちらも破たんしてしまうビジネスモデル

ただ、ネズミ講もマルチ商法も、永遠に存続し続けることは理論的に不可能です。仮に1人の人間が2名を勧誘し続けると仮定すると、27回紹介した時点で計算上会員が約1億3,400万人となり、日本の人口を超えてしまいます。3名ずつ勧誘した場合は17回で会員が約1億3,000万人となってしまいます。

このことを裏付けるかのように、ねずみ講防止法の第1条で「結局において破たんすべき性質のものである」と明確に記載されています。

ネズミ講は法律で禁止されていますのでもちろんやってはいけません。マルチ商法は法律で禁止されているわけではありませんので、加入は自由ですが、加入する場合でも上記のことをしっかり頭に入れておいた方がよいと思います。

万一、退会したいが退会させてもらえないというようなトラブルがある場合にはすぐに弁護士に相談しましょう。

**著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)

     
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年金「繰り下げ受給」は本当に得? 歳をとってからでは使い道もない

 これまで喧伝されてきた定年後対策の常識は、〈保険料を長く払って将来の受給額を増やしたほうがいい〉〈あと数年、我慢して繰り下げ受給すれば、年金が大きく増やせる〉といった「増やす」ことを目的としたものばかりだった。

 だから、「早くもらう」ことの重要性を見落としてしまう。「繰り上げ受給は損」──という思い込みから解放されることで、豊かな老後が送れるケースもある。

 55歳の時に会社都合により早期退職に追い込まれたEさんは、転職によって給料が激減し、還暦を前に苦しい生活を強いられた。昨年70歳の古希を迎えたEさんが振り返る。

「60歳になった時、迷わずに繰り上げ受給を選びましたね。10年前だから年金の報酬比例部分は60歳受給だったが、65歳から受け取るはずの基礎年金を繰り上げでもらいました。

 申請をする前に年金事務所の相談窓口に行ったら、『70歳まで我慢すれば1.4倍になる』と、繰り下げ受給をしきりに勧められましたが、生活が苦しかったので迷いはなかった。働きながらだったので支給停止もあって、もらえたのは月5万円ほど。それでも、だいぶ助かりましたね。

 振り返って感じるのは、65歳、70歳と歳を重ねるにつれ、物欲がなくなるからか、毎月の出費が減る。お金が必要な時に繰り上げてよかったと思います」

 Eさんが年金事務所の相談窓口で説明されたように、政府を中心に「繰り下げが絶対に得」というキャンペーンが張られている。

 自分が預けてきた保険料を引き出す時期にまで介入するなど、“余計なお世話”としか言いようがないが、繰り下げ受給を選ぶと1か月ごとに金額が0.7%増え、70歳まで受給開始を延ばせば42%もアップする。

 だが、「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏は「キャンペーンに踊らされてはいけません」と警告する。

「近年は、『繰り下げが得』という話ばかり強調されますが、歳をとって体の自由が利かなくなってから多くの年金を受け取っても、使い道がないケースは少なくありません。元気なうちに繰り上げ受給し、人生を豊かにするために使うことはひとつの卓見です」

“元気なうちにもらって使う”という観点から繰り上げと繰り下げを比べてみると、その景色は一変する。

 別掲の図をご覧いただきたい。厚労省の標準モデルを前提として「60歳まで繰り上げ」「65歳から受給」「70歳まで繰り下げ」のそれぞれのケースで、平均寿命(男性81歳)までに年金をいくら受け取れるかを計算した。

 たしかに、「繰り上げがいちばん損」に見える。しかし、その下に示したように、健康的な日常生活を送ることができる「健康寿命(男性72歳)」までの年金受給額を計算すると、状況は大きく変わる。

 この場合、60歳から繰り上げ受給するのが「いちばん得」になるのだ。70歳まで繰り下げた場合と比べると約3倍も受給額が多い。

 70歳まで繰り下げた場合、健康寿命までたった2年しかないから、ここまで大きな差が生まれるのだ。
     
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50歳になったら要確認!「ねんきん定期便」の見方のポイント

■「ねんきん定期便」は、誕生月に年金制度加入者の住所に届く年金記録のお知らせ
ねんきん定期便とは、平成21年4月より年に1回誕生月に年金制度加入者の住所に届く年金記録のお知らせです。基本的に毎年、直近1年の保険料納付状況を記載したものが届きます。

35歳、45歳、59歳のときには、20歳からの納付状況も全部含めた記録が、封書で届きます。中に返信用封筒があるので、ねんきん記録回答票に「勤務先や加入期間などのもれ」「勤務先や標準報酬月額の誤り」があれば、返送して記録を訂正してもらいましょう。2、3カ月時間がかかります。

■ねんきん定期便でわかること
ねんきん定期便でわかることを6つ挙げてみましょう。

1.氏名・生年月日・住所
2.年金加入期間
3.老齢基礎年金・老齢厚生年金の見込み額
4.これまでの保険料納付総額
5.直近1年間の保険料納付状況
6.会社員・公務員は勤務全期間の標準報酬月額・標準賞与額(おおよその給与・賞与)

氏名の読みに間違いがありませんか? 生年月日は合っていますか? 住所は間違いないですか? 時折、氏名の読み間違いで加入記録が分かれてしまうことがあるのです。慎重に確認しましょう。年金加入期間がわかれば、「年金をもらえるかどうか」がはっきりわかります。平成27年10月からは共済年金と厚生年金が一元化され、年金定期便にも共済年金期間が表示されます。

ちなみに「年金見込み額」の記載がないのは「年金加入期間が足りないので、年金がもらえるかわからない」ということです。早速年金事務所で「カラ期間」を探してきましょう。...標準報酬月額・標準賞与額が万一「もらっていた給料より少ない」場合、実際より少ない給与で届け出されていた可能性もありますので、年金事務所で確認してみましょう。

■50歳未満と50歳以上で異なる「ねんきん定期便」
このねんきん定期便、50歳未満と50歳以上では記載内容が異なります。年金見込み額の部分には、50歳未満では今までの加入期間と保険料に基づく年金見込み額が、50歳以上では今の給与や今の状態で60歳まで過ごした場合の年金見込み額が、記載されています。0歳までの間に、例えば早期退職したり、離婚や配偶者の退職で厚生年金の被扶養配偶者でなくなったりすると、50歳以上のねんきん定期便に記載される年金見込み額は減るので、要注意です。
     
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とうとう「転勤」 あなたの「住宅ローン控除」はどうなる? さまざまな条件で適用可否が変わります

確定申告時期を迎えました。

今回は、個人の方にとって最大の恩恵が受けられる税額控除である「住宅ローン控除」(正式には、住宅借入金等特別控除)について、転勤との兼ね合いをまとめてみました。

【注】ここでお話する転勤とは、給与等の支払いをする者からの転任の命令に伴う転居、その他これに準ずるやむを得ない事由に起因して自宅を居住の用に供せなくなることをいいます。

所得控除と違って、丸々その額が支払った税金から戻ってきますので、その適否については非常に関心が高いものでしょう。

ぜひ、参考になさってください。
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住宅ローン控除を受けるためのおもな条件とは?

まずは基本的なところとして、住宅ローン控除を受けるためのおもな条件を抑えておきましょう。
 
1. 新築又は取得の日から6か月以内に居住し、適用を受ける各年の年末まで引き続き住んでいること

2. この控除を受ける年分の合計所得金額が3000万円以下であること

3. 新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること

4. 返済期間が10年以上の住宅ローンが対象であることなど。

その他条件についての詳細は、下記をご参照ください。

【国税庁HP】住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

転勤の状況によって、住宅ローン控除の適用可否は変わります

それでは、本題に入って参りますが、「転勤」と一口にいってもその状況はさまざまです。

・ 「単身赴任」 or 「家族」で転勤なのか?

・ 「国内転勤」 or 「海外転勤」なのか?

・ 住宅ローン控除「適用中の転勤」 or 「いったん入居」してからの転勤

・ 一度も入居せずなのか? 再入居後はどうなるのか?

住宅ローン控除の適用可否が複雑なのは、これらの状況により結果が違うからです。

図に転勤状況別の適用可否を○Xでまとめました。

おおまかにお話しますが、海外転勤の場合の転勤中は一切控除を受けられません。

これは、転勤中の本人が「非居住者」に該当するためです。

そして、家族で転勤の場合で転勤中控除が受けられないのは、上記1.の条件を満たさないからです。

あとは、一度も入居せずに転勤の場合は再入居後も基本は控除を受けられないのですが、例外として、国内転勤(本人が非居住者になっていないこと)で、単身赴任(家族は入居)であれば、控除を受けられます。

あとは、すべて控除が受けられるものとなります。

転勤と住宅ローン控除の適用可否については変遷があります

現行の税法では上記のようになっておりますが、転勤と住宅ローン控除の兼ね合いについて、過去は一度転勤してしまうと再入居しても住宅ローン控除は復活しませんでした。

しかし、2003年度の税制改正により再入居後の適用について条件付きで認められ、さらに2009年度の税制改正により転勤時の条件が緩和され、入居後、その年の年末を待たずして転勤になった場合の再入居後の適用も認められるようになりました。

このような変遷を経て現在に至っています。

最近の税制改正では、2016年度税制改正により、2016年4月1日以後は、非居住者が購入した場合も一定の要件を満たせば住宅ローン控除が適用できるよう緩和されております。

住宅取得時期によって適用の可否が変わりますので、御自身の場合の適用可否についてはその点をご考慮ください。
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その他の注意点とは?

再入居後に住宅ローン控除の適用を再開してもらうには、転勤前にあらかじめ手続きをしておくことと、再入居後住宅ローン控除を再度受ける最初の年に改めて確定申告をすることが必要です。

転勤前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」、税務署から交付された「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書]、「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」の未使用分を税務署に提出しておきましょう。

それと再入居後の控除期間につきましては、転勤期間を差し引いた「残存期間」になります。

控除を受けられなかった年分の延長はなく、当初の適用開始から10年ということです。
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日銀のマイナス金利政策での悪影響で資産を増やすことは非常に難しい

現状、節税は最も有効な手段であります。

折角恩恵が受けられるのに知識不足でその恩恵を逃すことのないようにしてください。
     
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確定申告】3つに増えた記入番号(整理番号、利用者識別番号、マイナンバー)の書き方を整理

平成28年分の確定申告からマイナンバーの記載を求められるようになりました。

成りすましを防ぐため本人確認が必要とされることもあり重要な番号とは言えますが、電子申告により導入された番号やそれ以前の管理番号もあり、申告で使う番号がさらに増えることになりました。

実際の申告の上で、どのように使うか整理していきましょう。

1. 整理番号(8桁)

電子申告・書面申告問わず記載欄がある番号ですが、これは管轄税務署ごとに割り振られたもので、転居等で管轄が変われば変更されるものです。

税務署より届く「平成○年分確定申告のお知らせ」や「国税還付金振込通知書」などにも記載されています。

これは書面申告・電子申告関係なく任意記載の番号ですので、正確な番号がわからなければ未記入にしておいたほうがいいものです。

平成29年より始まったクレジット納付の際にも入力は求められますが、こちらも任意記載となっています。

2. 利用者識別番号(16桁)

電子申告(いわゆるe-taxの他、申告会場のパソコンで行う「来署型」含む)で必要な番号がこの番号で、こちらは転居しても引き継がれます。

書面申告であれば、確定申告書等作成コーナーも含めて必要とされません。

マイナンバーが導入された平成28年分以降も、電子申告では効率的な入力およびe-tax送信の上で最重要な番号です。

■自宅送信・来署型共通の注意点

確定申告書等作成コーナーでは自宅送信・来署型とも、設定した暗証番号無しに申告書を作成することは可能ですが、この場合住所・氏名等を手入力することになります。

暗証番号をちゃんと入れれば、住所氏名等の登録情報を呼び出します。

暗証番号は取得時に発行した「重要書類」には記載されていますが、前年以前分の申告書控や「平成○年分確定申告のお知らせ」には表示されません。

■自宅送信の注意点

来署型でないe-taxの場合は、最後の電子送信の際にも暗証番号を入れますので、暗証番号を忘れると申告を完了させることはできません。

忘れた場合は、秘密の質問・答えを登録していればそれを用いて再設定できます。

登録していない場合は、変更等届出書の提出をして、新暗証番号が来るまで1週間程度待つことになりますので、申告期限間際の場合は注意してください。

なお、平成29年1月16日に運用が開始されたマイナポータルから電子申告を行う際にも、利用者識別番号・暗証番号の入力は求められます。

3. マイナンバー(12桁)

平成27年10月〜12月にお手元に届いたマイナンバーですが、社会保障・税の情報をこれから一体管理していくための番号です。

上記2番号と異なり、漏洩により不正利用が予測される場合を除いて変わることはありません。

手書きの申告では、第1表に本人分、第2表に扶養親族等・事業専従者の分を記載します。確定申告書等作成コーナーでは、(扶養親族等や事業専従者を含めて)最後のほうで入力して終わりです。

ただ、通知カード+本人確認書類(マイナンバーカードであれば単独でOK)の提示または写しの添付も必要となります。

電子申告・書面申告を問わず、法律上は義務としての記載を求めていますが、国税庁ではマイナンバー記載初年度ということもあり柔軟な対応をしています。

平成29年7月までは記載することの影響やメリットを実感しにくいのではないでしょうか。

例えば平成28年分の確定申告により申告した情報は、所得制限つき社会保障制度(※)を利用する際に、自治体等が参照することになります。

 ≪※参考記事:確定申告によって自分の受ける社会保障はどう変わってくるのか(1)≫

マイナポータルでも、平成29年7月本格運用後は「子育てワンストップサービス」などが利用できる予定です。マイナンバーカードを発行してもらうことにより、所得制限の範囲内であるかを自身で参照できることが想定されます。

以上3つの番号を取り上げましたが、混同されている方もいらっしゃるので整理しておいてください。
     
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「明日から10日間出張してきて!」突然の長期出張命令を断ることはできない?

30代のSさんは、大型店舗に設置されているPOS(レジ)システムの運用保守の仕事をしていますが、出張の多さに悩んでいます。オープン前には1週間程度現地で付きっきりで使い方を指導し、その後3日間立ち会い。このサイクルでいくと、だいたい10日程度は泊まり込みになるそうです。

しかもかなり人数が少ないようで、5人程度で賄っているとのこと。自分の知らないところで出張が決まっていることがあり、出社してみたら「明日から群馬県に10日間出張して」と言われたことがあるそうです。

Sさんはそのせいで彼女とのデートもままならず、法事や結婚式などの冠婚葬祭の予定も立てることができずにいるとのこと。いくら仕事とはいえ、突然の長期出張命令は出来れば避けたいもの。

このような場合、正当に断ることは出来ないのでしょうか?諏訪坂法律事務所の多田幸生弁護士に見解を伺いました。

Q.突然命令された10日間の出張を断ることはできますか? 違法ではありませんか?
A.違法になる場合があります。

「俗に、“会社は労働者に対し出張を命ずる権利を有しており、労働者はこれを拒否できない”と言われることがありますが、必ずしも正しくありません。

労働契約上、会社に出張命令権限がないということは十分ありえます。また、会社に出張命令権限がある場合でも、あらゆる出張命令が許されるわけではありません。例えば、業務上の必要性がないのになされた出張命令は、権利の濫用であり、違法です。

このケースの場合、10日間というのはかなりの長期ですから、そのような長期出張を命ずるだけの業務上の必要性があったのかどうかが問題となります。必要性に乏しい長期出張だった場合、違法となる可能性があります。

また、出張が“10日間”ということは、土日を挟むことになります。もし、この人が出張中の土日も働くよう命令されているのであれば、それは実質的には“休日出勤命令”ということになります。この休日出勤命令についても、業務上の必要性がないのになされた場合は権利の濫用であり、違法です。

“明日から”という急な命令だったのですから、この人にはこの人なりの土日の予定があったことでしょう。会社には、この人の予定を無視してまで休日出勤を命じなければならないような必要性があったのでしょうか。もしなかったのであれば、違法となる可能性があります。

なお、会社が休日出勤命令をするためには、就業規則やいわゆる“36協定”に休日出勤についての規定があることが必要です。

もし、就業規則や36協定に規定がない場合、会社はあなたに土日勤務を命令することができません。そのような場合、あなたは土日勤務を拒否しても何ら問題ありません」(多田弁護士)

就業規則の内容いかんでは違法となる可能性が高く、拒否しても問題ない場合もあるようです。まずは規則を確認する必要がありそうですね。

様々なケースが考えられますので、Sさんのように無茶苦茶にも思える業務命令に悩んでいる方は弁護士への相談をおすすめします。

*取材協力弁護士:多田幸生(諏訪坂法律事務所。大手証券会社勤務を経て、弁護士登録。企業法務、不動産、債権回収、人事労務にノウハウの蓄積があり、これらを駆使して問題の解決に当たる。予定がない限り、当日相談にも対応。)
     
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体調を崩して仕事を休みたい…知っておきたい「休職」と「傷病手当金」の仕組み

長時間労働やパワハラなどのストレスによって、心身の不調を訴える人は少なくありません。退職するというのも1つの選択肢ですが、休職することによって、回復を図るというのも1つの手段でしょう。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、職場の嫌がらせでうつ病と診断され、1か月休職するよう言われた人が「休職中は無収入になると大変困るのですが、傷病手当金を申請することが出来ますか?傷病手当金はいくらもらえますか?」と疑問を投げかけていました。

そもそも休職とは法的にどう位置付けられているのでしょうか。休職中の給与の取り扱いはどうなっているのでしょうか。また、傷病手当金とはどのような制度なのでしょうか。天田圭介弁護士に聞きました。

●休職の位置付け

休職とは、一般に、ある従業員について働かせることが不能、または不適当な状況が生じた場合に、使用者(企業)がその従業員に対して、労働契約そのものは維持させながら、勤務を免除すること、または禁止することと定義されています。休職は、法律で定められた制度ではなく、企業内のルール(就業規則や労働協約)によって、その企業ごとに様々な内容のものが定められています。

休職のうち、業務外の事由で精神疾患にかかったことを理由とする休職は、「傷病休職」(または「私傷病休職」)などと呼ばれています。傷病休職については、多くの企業では、業務外の事由による傷病で仕事を休んだ期間が一定期間に及ぶことが要件とされています。なお、業務に起因して精神疾患にかかった場合は労働災害(労災)の問題であり、傷病休職のケースとは区別されますが、実際には、発症当初はその精神疾患が業務に起因するものかどうかの判断が難しいため、傷病休職の制度が利用されることが多いでしょう。

●健康保険の傷病手当金が1年半まで支給される

傷病休職中は、労働者は、給与の支払いを受けられないのが原則ですが(「ノーワーク・ノーペイ」の原則)、企業内のルールにこれと異なる規定があれば、給与の支払いを受けられます。また、傷病休職中の年次有給休暇を取得はできないと考えます。さらに、傷病休職中は、労働者は療養専念義務を負いますので、旅行に行ったり、別の仕事を行ったりすることは、基本的にはできません。

業務外の事由で精神疾患にかかったことにより、仕事を連続して3日間休んだうえで、さらに仕事を休んだ場合には、4日目以降の仕事を休んだ日について、健康保険の傷病手当金が支給されます。傷病手当金の支給期間は、支給が始まった日から数えて1年6か月間です。傷病手当金の額は、1日あたり、給付を受ける月以前の12か月間の各月の標準報酬月額の平均額を30日で割った金額の3分の2が基本となります。ただし、仕事を休んだ期間について、企業から傷病手当金の額より多い給与が支払われた場合には、傷病手当金は支給されません。

【取材協力弁護士】 天田 圭介(あまだ・けいすけ)弁護士
企業による適正な人事・労務管理の結果、労働者の権利が確保されるとの理念のもと、企業から人事・労務に関する多くの相談を受けるとともに、主に企業側の代理人として、多くの労働事件を手掛けてきた。東京弁護士会所属。
事務所名:天田綜合法律事務所
     
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夫が会社を辞め働こうとしない…離婚事由になる?

離婚理由には様々なものがありますが、意外と多いといわれるのが、夫の収入に対する不満です。「結婚後会社を解雇され生活できない」「会社を辞めたあと働こうとしない」「給与が下がり生活できない」などの理由で、妻が旦那に対し愛想をつかし、「三行半」を叩きつけることがあります。

このような場合、第三者から同情される一方で、「夫が働けないなら妻が働けばいいじゃないか」「どうして一緒に苦しみを乗りえようとしないんだ」という批判の声も。そもそもこのような、「旦那が働かない」というような理由は離婚事由として認められるのでしょうか?高島総合法律事務所の理崎智英弁護士に見解を伺いました。

■仕事をクビになって働かないケースは離婚事由になる?

「まず、配偶者が​仕事をクビになったというだけでは離婚することは出来ません。ただ、クビになった後も次の仕事に就かず、働く気すら見せないような場合であって、預金も底をつき、他の配偶者の稼ぎだけでは生活費が足りず、日常生活を送ることすらままならなくなっている場合には、もはや婚姻関係を継続していくことは困難と言えますので、離婚事由になり得ると考えます」(理崎弁護士)クビに「なっただけでは」離婚することはできませんが、働く気を見せず預金も底をつき日常生活を送ることが難しい場合は、離婚事由として認められる可能性が高いようです。

■給与が下がった場合は?

「給与が下がったというだけでは離婚は出来ません。さらに、給与が下がって生活費が足りなくなって、それまでと同様の生活を送ることができなくなった場合であっても、夫婦は相互に協力し扶助する義務を負っているところ、一方の配偶者の給与の減額分を他の配偶者の努力によって埋めることもできますので、基本的には給与が下がったという理由では離婚は出来ません。

ただ、給与が下がった理由が、配偶者が会社で悪いことをして懲戒処分を受けたなどその配偶者の責任によるところが大きい場合には、別途、離婚事由になり得ると考えます」給与と離婚事由の関係をお分かりいただけたでしょうか? 一口に「働こうとしない」「給与が下がった」といっても様々なケースがあり、それによって認められるか否かの判断も変わってくるようです。夫の収入による離婚を考えている場合は、詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

*取材対応弁護士: 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
     
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